研究課題/領域番号 |
15K01450
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 助教 (80404119)
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研究分担者 |
柴本 勇 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (30458418)
中山 淳 一関工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (70270212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 舌運動 / 舌骨上筋群 / 動作識別 / 機械学習 / 嚥下障害 / 嚥下リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究では,舌骨上筋群の表面筋電位を用いた舌運動推定技術を,嚥下機能の評価ならびに訓練支援に応用することを目的とし,嚥下リハビリテーションに関する様々な顎口腔運動を識別する推定手法の開発を進めている. 本年度は,22チャンネル表面電極,咽喉マイク,3軸加速度センサ,3軸力覚センサ,エレクトロパラトグラフィーなど,各センサの情報を同期計測可能なシステム開発を行った.そして,舌機能が正常な若年者を対象とした計測実験を実施し,機械学習の一つであるサポートベクターマシンを用いて分析することで,舌骨上筋群の表面筋電位,嚥下音,下顎運動等の情報から,間接訓練における舌運動や,摂食,咀嚼,嚥下等の一連の顎口腔運動を識別できることが示された.また,高齢者および嚥下障害者の舌骨上筋群の筋活動パターンを分析し,間接訓練における舌運動を識別したところ,若年者よりも舌運動の再現性が低く,識別精度が低下する傾向が示された. 一方,本年度は,顎口腔運動だけでなく,力の情報も可視化するために,若年者を対象とした舌尖の力ベクトル推定も試みた.人工ニューラルネットワークを用いて推定した力ベクトルと,小型3軸力覚センサを用いて実測した値を比較したところ,個人差は大きいものの,顎下部で観測した舌骨上筋群の筋活動パターンから,口蓋押付時ならびに前方突出時における舌尖の力ベクトルを推定できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測システムの開発では,次年度以降に予定していたエレクトロパラトグラフィーとの通信方法を前倒しで確立することで,22チャンネル表面電極,咽喉マイク,3軸加速度センサ,3軸力覚センサとの同期計測を効率良く実現することができた.また,高齢者および嚥下障害者を対象とした舌運動識別実験では,若年者より識別精度が低くなる傾向があったが,モデル化に必要な学習データを増やし,舌運動のばらつきを吸収することで,識別精度を改善できることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,高齢者や嚥下障害者に対する推定精度を向上できるよう,引き続き計測手法や解析手法の検討を行う.また,嚥下反射の随意的な惹起能力や口腔機能の巧緻性,舌の運動機能などを見える化する評価システムの開発や,顎口腔運動で楽しく遊びながら間接訓練を実現する訓練支援システムの開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の物品購入が,当初予定金額より少なく済んだため残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,国内会議や国際会議への参加,論文投稿など,研究成果発表を積極的に行う予定である.次年度使用額は,その成果発表に関する旅費,投稿費などに使用する.
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