本研究では、高齢者、障害者、乳幼児、さらに一般市民に対するバリアフリーに関する喫緊の課題を明確化し、幼児から成人を対象にした、学校、企業、生涯教育の場、福祉施設等で行う、実効性のあるバリアフリーの啓発方法の開発を目的にした。喫緊の課題として多くの人から挙げられたのは、ながらスマホをしている人(自転車スマホ、歩きスマホ)、迷惑ランナーであった。 本研究においては、それぞれのバリアの問題に関して、誰に対して、どのような場で、いかなる内容のメッセージ(危険性の強調、使用方法の具体的提案、道徳的な態度の重要性の強調など)を、どのような方法によって伝えるかについて実験的に効果検証した。具体的な方法として、知識伝達型の講義法、迷惑を受ける者が明確にわかるような映像を使用する方法、迷惑を受ける者が自らのメッセージを映像によって伝える方法、バリアの解消について議論を行う方法、グループに分かれてディベートを行う方法、直接的な体験を行うシミュレーション法の効果を検討した。 これらの一連の研究の結果から、それぞれのバリアの問題に関して、小~中学生、大学生に対して最も効果的であると考えられる教育プログラムを作成し、提案した。 さらに、ながらスマホ防止のための罰則ある条例の効果の効果を検証するために、条例のあるハワイのホノルル市と条例のない日本のJR恵比寿駅前において歩きスマホ率などを測定し、罰則を伴う条例には実効性があることを確認した。
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