研究課題/領域番号 |
15K01453
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
綾屋 紗月 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40641072)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 当事者研究 / 自閉スペクトラム症 / エスノメソドロジー / 会話分析 / 自然言語処理 / ソーシャルマジョリティ |
研究実績の概要 |
目的1.テキスト・マイニング・自然言語処理分析と質問紙票調査 テーマ分析の方法によって、ASD者におけるリカバリーの要素について分析を行った。分析結果はホームページを通じて公開するとともに、自然言語処理技術を用いたエピソード検索システム「エピソードバンク」(http://sociocom.jp/episode-bank/)に登録し、当事者研究のアーカイブ化やクラウドソーシングによる仮説生成への活用を目指している。また、そこから抽出された固体要(impairment)についての仮説のうち、触覚過敏に関して、刺激発生装置を用いて検証実験を行い、論文として発表した(Fukuyama et al., 2017)。 目的2.ソーシャル・マジョリティ研究会の実施とテキスト作成 ソーシャルストーリーにかわる多数派の社会デザインを明示的に説明する日本語でのテキストを、「ソーシャルマジョリティ研究」として、近日中に金子書房から出版する。また次年度4月に、アウトリーチ活動としてテレビ番組で研究内容を広く発信する予定。 目的3.他障害との比較によるASD者に合ったコミュニケーション様式の検討 2015年‐2016年に行った当事者研究のやり方研究会の結果は、書籍や学会発表の形で公表した。2016年に行った臨床研究の実践場面ををエスノメソドロジー・会話分析の手法を用いて分析し、ASD者にあったコミュニケーション様式に基づく当事者研究のファシリテーション用ビデオと教材を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1.テキスト・マイニング・自然言語処理分析と質問紙票調査 当初計画していたように、分析方法にテーマ分析を加え、ASD者におけるリカバリーの要素について分析を行うことができただけでなく、分析結果をホームページを通じて公開し、エピソード検索システム(http://sociocom.jp/episode-bank/)に登録する道筋ができたことは研究の社会実装として有意義である。抽出されたimpairmentの仮説検証についても、認知科学との連携のもと論文執筆まで至ったことは、当事者主導型研究のモデルケースとして意義深い。 目的2.ソーシャル・マジョリティ研究会の実施とテキスト作成 予定通りソーシャルストーリーにかわる多数派の社会デザインを明示的に説明する日本語でのテキスト「ソーシャルマジョリティ研究」の出版が確定している。加えて、テレビやシンポジウム、一般向けプログラムなど、アウトリーチも進んでいる。 目的3.他障害との比較によるASD者に合ったコミュニケーション様式の検討 当事者研究のやり方研究会や臨床研究のビデオデータをエスノメソドロジー・会話分析の手法を用いて分析した結果を、日本発達神経科学学会での発表や、一般向け書籍「みんなの当事者研究」(熊谷晋一郎編、金剛出版、2017年)の1章として公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度計画していた海外視察に関しては、2018年5月12日~6月3日にアメリカ出張が確定しており、その内容を目的3の研究に還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた海外視察及び招聘が先方都合で延期となり、今年度中に実施する予定である。5月12日~6月3日にアメリカ視察を予定。
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