研究課題/領域番号 |
15K01458
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
藤澤 正一郎 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (50321500)
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研究分担者 |
佐藤 克也 徳島大学, 大学院理工学研究部, 講師 (10403651)
伊藤 伸一 徳島大学, 大学院理工学研究部, 助教 (90547655)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 視覚障害者誘導用ブロック / 注意喚起ブロック / 突起配列 / 方向定位性能 / 横断方向 |
研究実績の概要 |
本研究は、視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の一つである注意喚起ブロック(点状ブロック)の方向定位性能について検証を行うことを目的とする。特に、ISO規格が指定している点状突起の直径と突起間隔の組み合わせのパターンが方向定位性能を有しているかを定量的に計測する。初年度においては、JIS規格で採用している突起間隔60mmについて、ISO規格の突起直径5種類(12mm, 15mm, 18mm, 20mm, 25mm)の方向定位性能について被験者実験を行った。5種類の直径すべて方向定位性能を有していることが確認できた。2年目の平成28年度においては、ISO規格の5種類の直径に対して,間隔の寸法は直径毎に定められたISOの許容範囲内の最小値,最大値と中央値を選定した。直径5種類、間隔3種類の計15組の組み合わせについて,5組の組み合わせを1試行の実験として,3試行の実験を行った。1試行の実験の1組に対して各10回の実験を行った。1試行の実験では、被験者は5組のパターンをランダムに計50回の実験を行うことになる。被験者数は20名で、延被験者数は60名で行った。その結果、概ねすべての直径に対して最大の突起間隔の場合が、方向定位性能が高いことが分かった。また、突起方向の斜め45度においても点列が存在するが、この方向にはすべてのパターンにおいて方向定位性能がないことが分かった。この研究成果は、ISO規格の千鳥配列が横断歩道口に敷設された場合、横断方向に対して斜め45度の方向にしか方向定位しないことが分かる。ISO規格の改訂に向けた科学的基礎データとして有効な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ISO規格の5種類の直径に対して、突起間隔の最小値,最大値と中央値の3種類について、方向定位性能の被験者実験を行うことができた。その研究結果からJIS規格やISO規格の正方配列の点状ブロック(注意喚起ブロック)には、すべてのパターンに方向定位性能を有していることが判明した。特に突起間隔の最大の値において方向定位性能が高いことを示した。また、各パターンにおいては、正方の点列に対して千鳥の点列(正方に対して45度の方向)が存在するが、この千鳥方向には正方の点列方向との方向定位実験(全盲被験者の足裏による方向定位実験)において、千鳥方向に方向定位性能がないことが判明した。ISO規格の千鳥配列においては、横断方向に対して斜め45度に方向定位を示すことを意味する。この知見から現在のISO規格の点状ブロックの千鳥配列を排除することが望ましいことが示唆される。この研究成果を早急に公表し、ISO規格の見直しの科学的データとして活用されることが望まれている。
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今後の研究の推進方策 |
2017年9月に開催される欧州リハビリテーション工学協会主催の国際会議(AAATE2017)にこれまでの研究成果を発表予定である。また、国内外の学術論文にも投稿する予定であり、国内外に研究成果を公表し、ISO規格の改訂に向けた科学的データの提供を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年2月まで被験者実験を行ったため、執行額の確定が遅れ、差額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算に合わせて、旅費支出等に執行予定である。
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