当初,H29年度は実訓練に即した臨床試験を行う予定であったが,H28年4月に発生した熊本地震の影響で,実験現場である別府リハビリテーションセンターが約半年間使用不可となった。そのため,H29年度当初,装置の有効性を確認する被験者試験を行う計画に変更した。しかしながら,倫理委員会の承認,事故の場合の大分大学と別府リハの負担条件などの調整・確認等に手間取り,共同研究契約の締結等の事務作業後,被験者実験の実施手続が7月となった。 7月から患者による被験者実験へ向けた予備実験を行い,安全性とソフトウェア等の修正点,および実験プロトコルの確認を行い,改良と実験手順の改善を行った。また,ここまでの実施状況を学会(LIFE2017)において口頭発表し,情報を収集した。被験者実験に関しては,実験装置とプロトコルの確認修正後,対象となる患者の選定を開始したが,最初の被験者には安全性等を考慮して,慎重に選定を行ったこともあって,11月にようやく内定した。 被験者と実験日も決定し,被験者への主旨説明・承諾を得たものの,H29年11月頃からのインフルエンザ流行に伴い,別府リハビリテーションセンターの病棟閉鎖が実施され,被験者実験は不可能となった。 この間も,バイオメカニズム学会にて進捗状況と健常者による実験結果の口頭発表を行い,できうる限りの研究遂行を試みたが,3月中旬まで病棟閉鎖は続き,患者による被験者実験は29年度内には可能とならなかった。3月下旬に,患者との接触がない条件で部外者の立ち入りが許可されたので,健常者による実験により,足荷重の適正化が行えていることを確認した。 以上のように,当初計画に対して,十分な遂行はできなかったが,訓練システムは完成し,その特性も目的を満たすものであること,健常者による足荷重の適正化等が確認でできた。今後は,患者による被験者実験を行い,有用性を検証していく。
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