研究課題/領域番号 |
15K01465
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西村 正彦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60597889)
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研究分担者 |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00443664)
石内 勝吾 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10312878)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リハビリテーション / ロボットスーツ / サイボーグ型ロボット / 歩行 |
研究実績の概要 |
本研究課題は中枢神経障害患者の転倒を予防することを目的に、サイボーグ型ロボットスーツHALを利用したリハビリテーションプログラムの開発に向け、歩行機能及びバランス機能障害を合併する中枢神経疾患患者を対象にHALリハビリテーションプログラム(HALプログラム)を実践した。 HALプログラムは患者の筋力及び運動麻痺の程度、関節可動域範囲を考慮し、下肢随意運動を基にアシストトルクを設定する。立位が安定している者はトレッドミル上での歩行を、立位が不安定な患者の場合は免荷式歩行器を併用し、休息を入れながら30分間の歩行を実施した。 本研究課題に亜急性期および慢性期の中枢神経疾患患者51名が参加した。HALプログラム実施後の立位バランス機能、歩行機能、下肢運動機能は実施前に比べ、有意な改善を示した。歩行の自立度は1段階以上の改善を認めた。また、亜急性期の患者は随意運動ができれば、HALプログラム後の歩行機能の自立度は改善する傾向にあった。慢性期の患者は立位のバランス機能が維持されていれば、HALプログラム後に歩行自立度に改善を示した。小型モーションセンサを用い、股関節、膝関節、足関節の運動学的分析を行ったところ、ロボットスーツからトルクを補助された股関節、膝関節だけでなく、ロボットからトルクの補助を受けない足関節の運動特徴も健常者に近づくことが分かった。また、継続的なHALプログラムの実施は歩行距離の延長と下肢筋力を向上させ、その背景には中心前回、中心後回の灰白質体積の増加が関係していることが分かった。拡散強調画像を利用した皮質脊髄路と皮質網様体脊髄路の解析では、HALプログラムの実施後にこれらの神経線維の改善を認めた。 HALプログラムは亜急性期及び回復期だけでなく慢性期の中枢神経疾患患者の歩行自立度を改善させることができ、転倒を予防する上で有効なトレーニングになり得ると思われる。
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