研究課題/領域番号 |
15K01466
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
伊橋 光二 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (40160014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 咳嗽力 / 筋電図誘発電気刺激 / 咳嗽介助 |
研究実績の概要 |
平成23年度から本邦の死因は肺炎が脳血管疾患を抜いて第3位となっており、要介護高齢者の嚥下障害と咳嗽力低下に起因する誤嚥性肺炎を主とした医療・介護関連肺炎への対策が喫緊の課題と考えられる。そこで、本研究では誤嚥性肺炎の改善と予防のために、呼吸理学療法の一つである徒手的咳嗽介助と、介護施設・在宅でも導入可能な腹筋群への筋電誘発電気刺激による自動的咳嗽補助を組み合わせて効果を上げる方法を検討することを目的としている。 平成27年度は、流量計(ニューモタコグラフ)を用いて正確に介助を加える換気量の設定、および咳嗽時呼気最大流速Peak Cough Flow: PCFの立ち上がり時間などの波形解析を行うための解析プログラムを導入し研究実施体制をセットアップし、健常青年を対象としてデータ収集を開始する予定であった。 この研究実施体制のセットアップにおいて、徒手的咳嗽介助の具体的な技術的検討などが必要となり、予備研究として健常青年19名を対象として、咳嗽およびhuffing(強制呼出法)の徒手的介助を検討した。また、ベッドのマットレスの材質による影響も考えられ、これについての予備的研究も実施した。この結果、徒手的介助の習熟の必要性や、介助効果と胸郭柔軟性との関係などが示唆され、評価項目へ採用する必要性が考えられた。 また、最近になって、咳嗽力の評価指標として、cough volume acceleration: CVAなどが用いられてきていることが判明し、波形解析の方法についても再検討が必要となった。 研究全体として研究計画に沿った進行から遅れており、平成28年度において早急に前進させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の平成27年度の計画は、流量計(ニューモタコグラフ)を用いて正確に介助を加える換気量の設定、および咳嗽時呼気最大流速Peak Cough Flow: PCFの立ち上がり時間などの波形解析を行うための解析プログラムを導入し研究実施体制をセットアップし、健常青年を対象としてデータ収集を開始することであった。しかし、研究全体の進行が遅れており、現在までの達成度は「遅れている」と判断している。 この進行の遅れの要因は概ね以下のとおりである。先ず、咳嗽力の指標についてはPCFを基本的な指標とするが、最近になってcough volume acceleration: CVA(Britton 2014, Plowman 2016など)やcough expiratory volumeなどが用いられるようになってきており、評価指標の追加や波形解析方法の再検討が必要となったことが挙げられる。また、徒手的咳嗽介助について具体的な方法や使用するベッドの材質の検討などが必要となった。これについては、予備研究として健常青年19名を対象として、咳嗽およびhuffing(強制呼出法)の徒手的介助の検討を行い、徒手的介助の習熟の必要性や、介助効果と胸郭柔軟性との関係などが示唆され、詳細な方法の確立の必要性が明らかになり、平成28年度に反映させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、流量計の選定および波形解析プログラムの導入を早急に進め、平成27年度に実施する予定であった健常青年を対象としたデータ収集を実施する予定である。 研究内容としては、申請書記載のとおりであり、筋電誘発電気刺激の刺激条件の検討として、電気刺激部位、刺激周波数、刺激時間など、最も有効な刺激条件の確立を目指す。また、電気刺激に加えて徒手的介助を併用する効果についても検討する。これに加え、可能であれば、健常高齢者を対象にしたデータ収集に着手したい。 研究実施体制としては、連携研究者に加え、昨年度入学予定を延期して本年度入学した大学院生の協力を得て体制を強化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の平成27年度の計画は、流量計(ニューモタコグラフ)を用いて正確に介助を加える換気量の設定、および咳嗽時呼気最大流速Peak Cough Flow: PCFの立ち上がり時間などの波形解析を行うための解析プログラムを導入し研究実施体制をセットアップすることであったが、最近になってcough volume accelerationやcough expiratory volumeなどが用いられるようになってきており、評価指標の追加や波形解析方法の再検討が必要となり、流量計および解析プログラムの購入にいたらなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は流量計および解析プログラムの購入を早急に進める。また、データ収集にともない、電気刺激用電極などの物品費、研究協力者への謝金、対象者の保険、情報収集および成果(予備研究含む)発表の旅費などに使用する予定である。 平成27年度の達成度は「遅れている」という状況であり、遅れを取り戻すべく研究への取り組みを加速させ、研究費の計画的使用に努める所存である。
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