研究課題/領域番号 |
15K01468
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
田口 孝行 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20305428)
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研究分担者 |
田嶋 明彦 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (00612615)
伊藤 奏 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10736474)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 体操教室 / 主体的 / 運動機能 / 口腔機能 / 内臓系機能 |
研究実績の概要 |
本研究では、自治会主体の定期的な体操教室を継続開催し、“身体機能・活動状況”・“内臓系状態”・“口腔機能状態”の3領域に関する効果を明らかにすることを最終目的としている。また、自治会主体の定期的な体操教室開催による介護予防・健康づくりの高齢者医療費や介護給付費等への効果も明らかにすることを目的としている。 本年度は、自主的で定期的な体操教室を開催する自治会の更なる増加、定期的な体操教室参加者に対しするアンケート調査の実施(参加者の参加目的や主観的効果等)、および3年目の体力測定事業(運動機能、口腔機能、内臓系機能)を実施し、3領域に関する変化を明らかにすることを目的とした。また、高齢者医療費への影響についても確認することを目的とした。 自主的で定期的な体操教室を開催する自治会を増加させるための方策として、「健康づくりリーダー育成講座」を2回実施した。また、体操普及戦略として、ご当地体操(なまらん体操)の新バージョンDVDを作成した。今回のアンケート調査は平成28年度までにリーダー講習会を修了した36自治会のうち、協力の得られた28自治会の参加者(743名)に実施した。回答率は86.3%(641名)であった。その結果、主観的な効果としては、運動への自信向上、運動習慣獲得、楽しみ・友人の増加などがあげられた。また、3%程度(20名程度)ではあるが通院回数の減少もあげられた。 3年間で体力測定が実施できた402名のうち、連続年度2回の測定が実施できた8名について年間の運動機能・口腔機能・内臓系機能の効果を分析した。その結果、下肢筋力、バランス能力、歩行能力等に有意な向上効果が認められた。また、口腔機能についても支援の必要度が大きく減少していた。ただし、体組成計測については有意な変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、自治会主体の定期的体操教室を開催する体制を整備するとともに、その自治会において、“身体機能・活動状況”・“内臓器系状態”・“口腔機能状態”の3領域について3年間の追跡調査を実施し、自治会主体の定期的な体操教室の3領域に関する効果を明らかにすることを最終目的としている。また、自治会主体の定期的な体操教室開催による介護予防・健康づくりの高齢者医療費等への効果も明らかにすることを目的としている。 これを明らかにするために、主体的に体操教室を開催する自治会を増加させ、その参加者も増加させてきた。研究計画当初は、5~10自治会を予定していたが、3年目までに市内42自治会で主体的な体操教室が開催され、この体操教室への参加者は約700名となり、体力等の測定やアンケート調査などへの協力者が大幅に増加した。そのため、アンケート調査の回答への理解を得てデータの質を確保することに時間を要し、医療費等のデータ使用手続きに時間を要したことから、補助事業期間の延長を申し出た。今回の延長は、当初計画の遅延ではなく、対象者数の増加により、計画以上の進展によるものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、自治会主体の定期的な体操教室の“身体機能・活動状況”・“内臓器系状態”・“口腔機能状態”の3領域に関する効果を分析して明らかにする予定である。また、自治会主体の定期的な体操教室開催による介護予防・健康づくりの高齢者医療費等への効果についても、体操教室参加者のうち国民健康保険加入者を対象として、対照群と比較してこれらの費用効果についても検証する予定である。さらに、当初の計画以上の体操教室への全参加者(約700名)を対象としたアンケート調査の分析にて、体操の主観的効果等についても明らかにすることを予定している。本年度は助成事業延長の了解が得られたため、基本的にこれまでの調査結果の分析と報告書の作成を実施する予定である。また、本事業は協力市で継続的に実施されることになったため、体力測定については、本年度の分析対象者の追加(増加)も目指して継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初は、5~10自治会を予定していたが、3年目までに市内42自治会で主体的な体操教室が開催され、この体操教室への参加者は約700名となり、体力等の測定やアンケート調査などへの協力者が大幅に増加した。そのため、アンケート調査の回答への理解を得てデータの質を確保することに時間を要し、医療費等のデータ使用手続きに時間を要したことから、補助期間の延長を申し出、基本的にこれまでの調査結果の分析と報告書の作成のために本年度予算を保留した。次年度は補助期間延長の了解が得られたため、これらに予算を使用する予定である。また、体力測定については、本年度の分析対象者の追加(増加)も目指して継続する予定であるため、予算を充てる予定である。
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