研究課題
近年、超音波診断装置による組織断層撮像は、安全性の面から注目されてきた。しかも、高解像度での撮像が可能となった。超音波画像はCTやMRIと比較すると組織の一部分を観測することになるので筋全体の断面積よりは筋の一部の画像から筋厚を計測することで筋量を評価することになるが、その再現性についての検証も行われている。筋力や筋パワーは筋横断面積に比例するとの報告があり、解剖学的筋断面積は筋厚と相関が高いことから、筋厚測定は筋力やパフォーマンス評価に活用できる可能性がある方法である。超音波によりサルコペニアの評価に活用できることも期待されるが、地域高齢者における加齢変化や運動機能との関係についてのデータは十分でない。今回の研究では、板橋お達者健診を受診した地域在住高齢者に対して、握力、歩行機能、平行性、および日常生活での運動習慣や活動性の調査などの運動関連について調べた。それによって、加齢に伴いどのような変化が現れるかを明らかにするとともに、各筋と運動機能との相関が性、年齢、運動機能指標によって異なっていることを示した。本測定では、さらに高血圧や糖尿病などの既往歴、介護保険状況、服用中の薬、および転倒歴もあわせて調査した。これらの多角的なデータから、疾病の有無による運動機能や活動性の違い等について明らかにしている。加齢による筋の変化では、筋量の減少だけでなく、筋質の変化が報告されている。高齢者は若年者と比較して筋委縮のみでなく、筋内に結合組織が増えることが報告されている。本研究のなかで、例えば中間広筋の筋厚は、男女ともに80歳以降では有意な膝伸展筋力との相関を示さないことが明らかとなっている。この結果は、中間広筋中の結合組織の増加によるものであることが示唆されている。すなわち、結合組織の加齢による割合も筋によって異なることを本法によって裏付けられことが考えられる。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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