研究課題/領域番号 |
15K01476
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
藤田 佳男 目白大学, 保健医療学部, 准教授 (40584206)
|
研究分担者 |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00190728)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 自動車運転 / 軽度認知障害 / 高齢者 / 運転適性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は健常高齢者および認知機能が低下した者の運転行動を改善し、安全な交通社会の形成に寄与することである。 初年度は第1研究「健常高齢者の認知機能と実車評価」を実施した。この研究は当初単独で行う計画であったが、埼玉県警察本部より研究協力の申し出があり運転免許センターと共同で実施した。そのため対象者数や検査方法に若干の変更があったものの、円滑に遂行できた。本研究では認知機能のうち処理速度課題であるの低い者は実車成績が低い、極度に自己評価が高い一部の者は実車成績が低いなどの研究仮説の一部が正しかったことが明らかになった。また、次年度以降の教育プログラムの作成に資するため、8月に開催された米国運転リハビリカンファレンスにて評価・教育ガイドライン「BEST PRACTICES FOR THE DELIVERY OF DRIVER REHABILITATION SERVICES」の詳細を入手した。また、健常高齢者が引き起こす高速道路の逆走の原因についての研究を高速道路管理会社と共同で行い、逆走以前に順走でも自分がどこから来たか分からない、今どこのインターにいるのか分からないなどの明らかに見当識などが低下している高齢運転者を料金所収受員が相応に対応しているなどのことが明らかになった。これは今回の研究のうち健常高齢者の運転実態を明らかにするという意味で意義が深いものとなった。また、海外では高齢者の運転適性を実際の事故経験を従属変数としたエビデンスの高い研究がみられるが、本邦では様々な障壁があり実施は困難である。これについては今年度後半に自動車保険会社と共同研究を開始し、次年度に結果をまとめる計画である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1研究は当初計画通り初年度に実施できた。しかし検査方法を警察本部と決定したため、若干の変更があったことや対象者数が当初目標と比して少なく(約20名)、充分な結果を導くことができなかった。これについては、再度研究計画を吟味し、必要に応じて補完的な研究を次年度に行う計画である。 一方次年度に行う予定であった、米国での情報収集は前倒しで実施できた。また、多くの研究者とも情報交換を行ったため、今後も必要に応じて新しい情報を得ることが可能になった。また、高速道路管理会社、自動車保険会社などと本研究計画に関連する共同研究を実施したため、次年度への準備がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在行なっている共同研究の成果を第2研究の教育プログラムに反映出来るよう努める。また、次年度に協力依頼があった某県県民生活部の高齢者安全運転推進プログラムへの企画参加を通して、教育プログラムの早期試行を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
第1研究が警察本部と共同実施となり、検査機材、および検査対象者謝金や、検査補助者への謝金が不要となったため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究結果をまとめを加速するためにより高度な統計処理ソフトの購入、研究補助者の雇用を実施する。また、第1研究の結果を補完する研究を行う、また、実施プログラムを作成するための、英語文献、資料の翻訳に用いる。
|