研究課題/領域番号 |
15K01480
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
小山 裕徳 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00120113)
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研究分担者 |
大矢 哲也 日本医療科学大学, 保健医療学部, 講師 (60514247)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 眼電位 / ヒューマンインタフェース / 重度肢体不自由者 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症患者などの重度肢体不自由者においては,病状末期においても意思は明確であるが意思伝達が困難となる.そこで残存機能を利用した意思伝達支援装置の開発が切望されている.申請者はこれまで残存機能である眼球運動および瞬目を眼電位より計測し,機器と患者とを結ぶアクセシビリティ機器の提案を行っている.これまでのアクセシビリティ機器は単一スイッチによる操作の提案を行っていた.しかし,単一スイッチでは文字入力など時間を要し,意図的に情報を短く簡略する傾向がある.そこで本研究は,自然で高いユーザビリティを確保するため,眼電位を用いた多入力による意思伝達支援装置の提案を目的とする. 文字入力において意図しない誤った入力や文字や文章を削除したい場合,単一スイッチによる走査入力方式では多くの時間を要してしまう.例えば,誤った文字を削除する場合には削除を選択することで文字が一文字削除される.通常の文字選択を変わらないため,誤入力が多い場合,削除をするための選択を誤り,誤入力などが新たに生じている.そのため,これまで提案している複数の入力動作を削除機能に割り当てること自然で高いユーザビリティを確保出来ると考え検討を行った.その結果,削除機能を別に設けることで文書入力の速度の向上が示唆された. 文字の選択を確定するための動作および削除するための動作それぞれの精度により,文字入力に影響を与えると考える.削除機能においては意図せずに動作しないことが重要であり,入力精度はある程度低くとも良いと考える.一方,文字確定などの動作は意図せずに動作せず,精度が高いことが望まれる.これらの精度による影響を今後検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,(1)入力動作による眼電位への影響(2)入力動作のスイッチングに要する時間の計測(3)信号処理システムの検討(4)各入力動作の入力成功率および入力時間を用いた符号化の検討(5)符号化入力方式による意思伝達支援装置の検討(6)本研究の総合的評価の6つの大きな流れとなる.今年度においては4および5の検討を進めているため,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
眼電位を用いた文字入力の検討を引く続き検討していく.走査入力方式および符号化入力方式において文字の削除機能を個別に用意することで,よりユーザビリティの高い文字入力システムが完成できると考える.誤った入力において,走査入力方式および符号化入力方式のいずれにおいても他の文字入力と同様に,削除を選択する必要がある.誤った入力や文字を削除することが多く,通常機能とは別に削除機能を割り当てることによる影響を検討する.これまで眼電位による複数の入力動作を提案しているが,その一つを削除機能に割り当て,文章の入力速度に与える影響,確定の入力動作と削除機能における動作の精度による影響の検討が必要となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたメガネ型の眼電位計測機器について再検討した結果,次年度に購入することが良いと判断したため,約50万円を見送った.
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次年度使用額の使用計画 |
メガネ型の眼電位計測および周辺機器の購入を行い,よりユーザビリティの高い計測およびソフトウェアの開発を行う.
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