研究課題/領域番号 |
15K01486
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
林 久恵 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80444404)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 介護予防 / 糖尿病足病変 / off-loading |
研究実績の概要 |
足部にかかる力学的負荷量の過多は、糖尿病足病変形成と関連があり、力学的負荷量の管理は足病変形成予防および再発予防策となることが報告されているが、実用性の高い評価方法や負荷量軽減を軽減する介入方策は確立されていない。そこで本研究では力学的負荷の過多を簡便に検出し、足底負荷量軽減に向けた荷重誘導トレーニングの効果を検討することを目的とした。 初年度は、簡便に力学的負荷の過多を検出する評価方法の検討と、足底負荷量の大きい日常生活動作の負荷軽減方法に関する検討を行った。 足部にかかる 力学的負荷量(足底圧・剪断力)を簡便に捉えるための臨床的な評価法の確立に向け、感圧フィルムを用いた測定プロトコルを立案し検討を行った結果、測定値(歩行時の足負荷集中領域のフィルム濃度)の再現性は良好であることが確認できた(級内相関係数 0.86, 95%信頼区間 0.73-0.93)。また最大負荷が検出された領域に、圧電フィルムを用いた3軸センサーを固定し、歩行時の負荷量を測定した結果、両者の間に中等度の相関関係がみられた(相関係数0.55, 95%信頼区間 0.27-0.74)。以上の結果から、感圧フィルムを用いることで、歩行時に足底負荷量が集中する領域を簡便に検出できると考えられた。 足底負荷量の大きい日常生活動作を検出し、負荷軽減方法の検討を行うため、歩行・立ち上がり・階段昇降時の前足部足底負荷量を3軸センサーで測定した結果、「歩行」が他の動作と比較し、相対的に前足部測定負荷量が大きいことが確認できた。各動作間の足底負荷量の大小関係は健常若年者、高齢者、糖尿病患者、透析患者ともに同様であった。そこで歩行中にかかる負荷軽減に向け、歩容を変化させた(荷重誘導を行った)結果、通常歩行と比較し51~73%に負荷が軽減することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
足部にかかる 力学的負荷量(足底圧・剪断力)の過多を簡便に捉えられる臨床的な評価法として感圧フィルムが活用できることが示唆された。 また、日常生活の中で足底負荷量が高い動作(歩行)の負荷量軽減方法として歩容変化が有用であることが確認できた。 現在は、歩容変化を習得する(荷重誘導を行う)際の効率的なフィードバック方法について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究所見に基づいて考案した新しい評価方法の実用化に向け、国内外の研究者と共に当該方法について批判的吟味を行う。 荷重誘導トレーニングに用いるフィードバック方法を検討し、介入研究に向けたプロトコルを決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1月に発注していた測定機器の納品が翌年度に行われたこと、また購入計画を立てていた圧画像解析システム(60万円)は新しいOSに対応したソフトウェアのアップデートが決まっていないため、同システムの替わりに分光濃度計(32万)を購入したため、差額を次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
測定機器の納品は4月に完了したため、予定通り測定を進める。 分光濃度計は、購入計画をたてていた画像解析システムとは機能が異なり、広範囲の測定は出来ないが、関心領域を限定することで、限局した領域にかかる負荷量を確実に捉え、圧電センサーで捉えた測定結果との関連を検討する方針に変更し、初年度に計画していた検討を完了することができた。
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