研究課題/領域番号 |
15K01487
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
松井 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30613682)
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研究分担者 |
中藤 良久 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10599955)
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
水町 光徳 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90380740)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発声支援 / 人工喉頭 / 食道発声 / 拡声器 / 口唇の動き検出 / ハンズフリー |
研究実績の概要 |
1. ユーザー要望に基づく薄型軽量人工喉頭、喉頭マイクの開発と装着方法の研究: 引き続きトランスデューサ(インパクトタイプ)の改良を行った。振動板部分のインパクト位置を調整できる構造とし、最適なインパクト位置に設定した。また、インパクトロッド部を3Dプリンタにて製作し、ボイスコイルとの接着を強固にできた。 新たに、フォトリフレクタを用いた口唇の動き検出実験を行い、精度良く口唇の動き区間の検出が可能なことがわかった。これにより発声する口の動きをすることでトランスデューサのON/OFFが可能となった。 2.障害者音声DBに基づく拡声装置の周波数特性最適化に関する研究: 小型拡声器の設計・試作を行い、銀鈴会にて簡易な評価を実施した。D級アンプ、VOX機能、2個のスピーカーによるワイドな指向性の実現、ワイヤレスアダプタによるワイヤレス機能の実現、などが主要な特徴である。現在、銀鈴会が評価している拡声装置に比べ、半分以下の大きさ、軽量で、銀鈴会からは音質、大きさ、ともに好評であった。 3.明瞭性向上のための声質変換に関する研究: 1の口唇の動き検出インタフェースを用いてより自然なピッチ制御を行う簡易実験を開始した。4個のフォトリフレクタによる口唇の動き検出により、口唇の大きな動きや急峻な動きを検出出来るため、動きパタンからピッチ包絡の推定を行う方式を実験中である。これにより、ユーザーは口をうごかし発声する動作をするだけでELの起動および抑揚の付与が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、喉頭癌などの発声障碍に対して、障碍のタイプ、程度や発話スキルに適応し、1)携帯拡声機能、2)人工喉頭・拡声機能切り替えや併用による多様なユーザー対応、3)騒音下で高明瞭な発声支援装置の実現である。 1)に関しては小型(90×60×35mm)、広指向性、省電力、軽量、ワイヤレスの拡声器プロトタイプを開発し高い評価を得た。2)に関してはマイクとフォトリフレクタによる口唇の動き検出機能付きマイクヘッドセットを開発し、人工喉頭、食道発声両用が可能なことを示した。3)に関しては人工喉頭の構造を改良し振動板とインパクトロッドの距離を調整可能にすることで最適な位置調整を可能にした。これにより効率が良く明瞭性の改善が期待できる。以上の内容に関して、国際会議での発表を行い多様な意見を吸収することができた。従って、本研究はほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度に行った実験評価結果、試作評価結果を踏まえて、小型ワイヤレス拡声器のユーザー評価を実施する。また、口唇の動きに基づいたEL制御、ピッチ制御の可能な試作機を開発し、評価を行う。これらの評価結果に基づき、複合型システム構築と評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、小型人工喉頭、小型拡声器、および、口唇の動き検出のためのセンサ装置の試作に集中したため、国内学会での発表回数が予定より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究費の使用計画は、小型拡声器の複数台の試作および評価の実施、トータルシステムとしての拡声器、センサ、人工喉頭の結合を行い総合評価を実施する。 そのための、部品購入、出張、学会参加を行う。
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