研究課題
本研究は高齢者に多い脊髄損傷による下肢麻痺に対し、立位保持訓練および歩行訓練を効率化する2種のロボット開発を目的とした。立位保持訓練ロボットは、立位で足の前後スライド運動を介助し左右への重心移動と遊脚・立脚の基本動作を訓練する。歩行訓練支援ロボットは、実環境での歩行に追従し支援する。研究課題は、介助力調整機能、運動状態表示機能、転倒防止機能であった。介助力の調整機能では、立位保持訓練ロボットで機能回復に重要な訓練中の脳賦活を、トレッドミルとロボット上での歩行様動作、足底圧表示の有無、遊脚・立脚を意識させる指示の有無を組合せ健常者で実験した。歩行に関連する運動野の酸素化ヘモグロビンの変化量をNIRS(近赤外光による脳機能計測)装置で観測、ロボット上動作で表示無しで意識ありの条件が最も変化量が高く他条件に対し有意差があり、足底圧表示による脳賦活の予想と異なる興味深い結果を得た。療法士と各条件での脳賦活機序を議論し、感覚認識系や運動計画系など詳細に各部位の賦活状態と動的な変化を観測することを課題とした。難易度の自動調整では医師・療法士から意見聴取した。現場の省力化に資するとの意見の一方、手動調整の簡易化の要望があり、機能と使い勝手をともに改善することが課題となった。歩行訓練支援ロボットでは、歩行を促す腰揺動を左右両側で連続実施する機能について療法士の意見を聴取した。揺動周期の調整、装置が大掛かりと指摘があった。これを受け搖動を含む機能簡素化と小型軽量化の概念設計をした。運動状態表示機能では、立位保持訓練ロボットでの実験から足底圧等の表示により脳賦活のレベルが異なること、賦活状態を提示することが考えられる。総合的な検討を次ステップの課題とした。転倒防止機能について、前年度から継続し医師・療法士から意見聴取したが特段の指摘を受けていない。今後も意見聴取による改善を継続する。
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