研究課題/領域番号 |
15K01491
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤澤 義範 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (00342494)
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研究分担者 |
伊藤 祥一 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (10369978)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 指文字 / 拡張現実 / AR / ウェアラブルデバイス / 学習支援 |
研究実績の概要 |
初年度中に拡張現実を実装したシステムを試作しており,コンテンツとなるマーカは試作段階であったため,2年目は教材となるコンテンツの作成を行った.概ね計画通り進んでいる. カメラでマーカを撮影して文字の特徴を検出し,認識した文字に対応する指文字の三次元データを拡張情報として実際の情報に付加し,ディスプレイに映す.そのため,指文字の三次元データとコンテンツとなるマーカの2つを作成する必要がある.まず,指文字の三次元データに関しては,モーションキャプチャを使い,手が開いた状態から指文字を作るまでの動画として,五十音全ての三次元データの作成を行った.濁音や半濁音については,一定の規則に従って指文字を動かせばよいので,その部分はシステムの方で行うことにしている.また,コンテンツとなるマーカについては,特徴量が少なく,似ているものについては,ご認識される場合があった.例えば,「い」と「こ」は90度回転している状態とみなされ,ご認識されることが多い.そこで,文字の下に英語表記や文字の上に指文字マークなどの情報を付加することで特徴量を増やしてご認識を回避することを考え,マーカをいくつか作成し実験した.結果としては,ご認識することは無くなったが,マーカ自体に余分な情報が増えるため,学習教材としては,不適切との指摘があった.そこで,平仮名を記載したカードの周囲にフレームを設け,平仮名毎にフレームを変えることで,フレームの特徴量で平仮名を認識することとし,余分な情報を排除することとした.現在は,どのようなフレームが適切なのかを検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,ウェアラブル端末の選定を行ったが,拡張現実を実装するには端末のスペックが低いことがわかり,ヘッドマウントディスプレイと小型PCでの実装を検討していたが,最近発売したもので実現可能であることがわかり,ウェアラブル端末の選定は完了し,システムおよびマーカの試作まで行うことができた.システムの動作が確認できたので,2年目はコンテンツとなる指文字の三次元データおよび教材となるマーカの作成に専念できた.平仮名だけではご認識することが確認できたので,その解消方法を検討し,平仮名の周辺にフレームを設けて特徴量を増やし,マーカを作成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りの進捗であり,3年目は,実際に学習支援機器として試用してもらう準備を進めいている.覚えたことをどの程度の割合で忘れるのかということを示す忘却曲線がある.我々は,平面的なテキストだけで学習する場合と本システムを用いて学習する場合で,どちらの方が学習したことが定着するかをこの忘却曲線を基準に検討し,本システムの優位性を検証することを考えている.被験者としては,二十歳前後の健常な人を対象に実験を行い,その後,ろう学校などの実際の教育現場での評価を行いたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェアラブルデバイスの選定において,スペック的に低く拡張現実の実装が難しいことがわかり,購入して試行することができなかった.また,指文字の三次元データやコンテンツとなるマーカの製作に注力しており,その評価などが十分行えず,結果として学会での発表が少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
評価のため,複数台のウェアラブルデバイスを購入し,順次評価を行う予定である.評価結果を受け,学会での発表や論文投稿などを積極的に行う予定である.
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