研究課題/領域番号 |
15K01496
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
白銀 暁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (90404764)
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研究分担者 |
外山 滋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学部, 研究室長 (50360681)
田中 敏明 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40248670)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シーティング / 車椅子 / 褥瘡 / 座位姿勢 / せん断応力 |
研究実績の概要 |
本研究は,車椅子を長時間使用する高齢者および障害者の褥瘡発生リスクの軽減を目指して,未だ明確になっていない,シーティングと総称される座位姿勢への介入アプローチと,褥瘡発生リスクの一つとされる臀部-座面間のせん断応力との関係性を明らかにすることを目的としている.そのために必要な,臨床応用しやすい座位姿勢の定量的計測システムの実現と,臀部に作用するせん断応力を計測するためのセンサ開発を行い,それらをもって実際の臨床場面における座位姿勢とせん断応力とを計測して解析する.今年度は,実際の計測に向けた準備を進める前臨床フェイズであり,姿勢計測システムとせん断応力センサの開発を進め,最終的に,それらを統合した計測環境を構築して予備計測を行った.予備計測において,座位姿勢計測は,深度センサ付きRGBカメラを応用した計測装置を用いて,上部体幹部の前額面および矢状面姿勢を定量化した.せん断応力については,開発した直径10mm,厚さ0.7mmの小型・薄型センサをクッションと同カバーの間に設置し,座面上の直行する2軸方向(前後方向,および,左右方向)にかかる力を定量化した.本システムによる上部体幹部姿勢の計測誤差は,矢状面方向において3°程度であったが,前額面方向では1°未満であった.さらに,計測姿勢に関して,前傾姿勢では胸骨部のマーカーの認識が難しくなることがあり,対策が必要であることが確認された.せん断力については,任意の1点に関して,姿勢に応じて生じる力の傾向を確認することができた.計測位置は,対象者の座骨結節下に位置するよう設定したが,確実性を高める工夫が必要であることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測システムの開発と,それを用いて臨床計測に向けた予備試験を行うという,今年度の目標は達成できた.姿勢計測については,健常者を対象とした精度確認を行って,その結果を学会で発表した.せん断応力計測についても開発したセンサを用いて臀部に働く力を定量化することができ,これに関しても学会で発表した。最終的に,これらを組み合わせて,2つの情報の同時計測が可能なシステムとして実現することができた.それぞれ若干の課題は残っているが,解決に向けた取り組みが進んでおり,研究全体の進捗への影響はほとんど無い.したがって,進捗としては概ね順調に進展しており,予定通り,次年度の臨床フェイズへ移行する準備が整ったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究計画の最終年度であり,臨床フェイズへと移行する.年度開始当初は,計測方法に関して残る若干の課題の解決を図りつつ,当事者を対象とした計測に関して倫理審査を申請して承認を得ることを目標とする.その後,同システムを用い,当事者を対象として実際の計測を行い,得られたデータを分析することによって,座位姿勢変化と臀部-座面間のせん断応力との関係の明確化に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,圧分布計測装置の購入を予定していたが,今年度は備品にて対応可能となったことから,購入が実現しなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,備品の状況を見て購入を再検討する.購入の必要がなくなった場合には,その他の計測用機材の充実や成果公表のための費用等,より高い成果を得るために用いる.
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