学習・記憶、不安やうつなどに関わる海馬の形態や機能の発育発達を促す効果的な発育期の運動の時期や運動条件は明らかでない。そこで、本研究では、この点に関して、発育期の異なる期間(発育前期および発育急進期)に、低強度と中・高強度の走行トレーニングを行わせ検討した。その結果、海馬容積の増加や神経新生の促進といった形態面や海馬の形態や機能的変化に関与する神経栄養因子の増加という点からは、発育急進期に中・高強度の運動トレーニングを行うことが効果的であることが示唆された。一方、学習・記憶能力の向上や抗うつ・抗不安作用という機能面での効果は明らかとはならなかった。
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