研究実績の概要 |
本研究は児童の生体リズムについて、身体活動との関連について検討することを目的に実施した。本年度は、身体活動量の変化が体温リズムに及ぼす影響について検討した。 9-11歳の児童77名を対象に平日の身体活動量(歩数)および口腔内舌下温を測定した。舌下温は、起床時(朝)、午後2時(昼)および就寝時(夜)に測定し、その時刻とともにを記録させた。各対象者の歩数は、加速度歩数計を用いて測定し、1日当たりの歩数平均値を算出した。測定は、夏(6月)と冬(12月)の計2回行った。 夏と冬の生活時間を比較すると、起床平均時刻および平均就床時刻は、夏に比べて冬では有意に後退した(p<0.01)。歩数は、夏に比べ、冬で有意に少なかった(p<0.01)。全対象者の舌下温の概日リズムは、夏に比べ冬は朝昼夜ともに有意に低値であった(p<0.001)。歩数の全体平均値は夏に比べ冬で減少したが、個人差が大きかった。そこで、夏冬の歩数差を基準に、活動量増加群、活動量減少群および対照群(歩数差小)に分けて舌下温の日内リズムを比較した。その結果、対照群および歩数減少群(平均-6,883±4,727歩、n=11)では全体平均値の傾向と同様に夏に比べ冬の舌下温は有意に低かった(p<0.05)。一方、活動量増加群(平均+5,154±1,541、n=11)では、季節性変化が認められなかった。また、冬の起床時舌下温は、活動量減少群に比べ、増加群で有意に高値であった(p<0.05)。 児童における冬の身体活動量低下は、舌下温リズム位相の後退を助長する可能性が示唆され、一方、高い身体活動性を維持することで体温リズム位相の維持あるいは前進に貢献すると考えられた。
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