研究実績の概要 |
平日と休日の睡眠や活動の時間差は社会的時差と考えられている。児童においてもまた、学校登校日と休日では睡眠時間などが異なると推測されるが、特に身体活動量においては二極化しているとの報告がなされている。日中の身体活動は体温などの概日リズムの同調に貢献しているため、日曜に身体活動量が低値であることは月曜起床時体温に影響を及ぼすと考えられる。本研究では、児童における社会的時差、特に学校登校日と休日の身体活動量の差が体温概日リズムに及ぼす影響について検討した。 小学校4年生児童24名(男子13名、女子11名、平均身長141±5cm、35±9kg)を対象に起床時舌下温および歩数を1週間連続測定した。舌下温は起床時に電子体温計(C502、テルモ)を用いて5分間実測し、歩数は加速度計で計測し身体活動量の指標とした。測定機器は木曜日に配布して金曜から測定を開始し、起床および就床時刻も合わせて記録させた。 登校日および休日の歩数平均値は、それぞれ15,506±2,674歩および11,076±5,099歩であり、登校日の方が有意に高値を示した(t=4.25, p<0.001)。また、歩数の変動係数は登校日17.2%に対し、休日46.0%と約2.7倍のばらつきを示した。起床時体温平均値は、登校日36.4±0.3℃、休日36.5±0.1℃であり、休日の方が有意に高かった(t=2.18, p<0.05)。この結果は、休日の起床時刻(7:09±0:47)が、登校日(6:35±0:23)より有意に遅延(t=4.31, p<0.001)したためと考えられた。また、月曜起床時体温のZスコアと日曜歩数のZスコアとの間には有意な正の関連(r=0.757, p<0.01)が認められた。日曜歩数が個人内で低値をとると月曜起床時体温が個人内で低くなり、体温概日リズムが後退する可能性が示唆された。
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