研究課題
ピスト式のタンデム自転車エルゴメータを作製した.この機器を用いれば,後乗りが能動ペダル運動を行うことにより,前乗りの受動ペダル運動が可能となる.本研究は,回転数に依存する受動ペダル運動時の心拍数と酸素摂取量変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男性9名であった.被験者から研究参加の同意を得て実施した.測定項目は心拍数と酸素摂取量とした.運動課題は後乗りが能動ペダル運動,前乗りが受動ペダル運動とし,タンデム自転車エルゴメータを1.5kpの負荷で15分間行った.ペダル回転数は40rpmから3分ごとに10rpmずつ80rpmまで増加させた.一方,受動ペダル運動の被験者に対して,ペダル回転数を増加させた時の能動ペダル運動をいわゆる自転車エルゴメータを用いて課し,心拍数と酸素摂取量を求めた.心拍数はスポーツ心拍計(Polar RS800CX)を用い,酸素摂取量はダグラスバッグ法で測定した.クロスオーバー法により被験者を相互の対照群とした.運動強度の変化に対する生理的指標の変化については,繰り返しのある一元配置分散分析によって検定した.前乗り受動ペダル運動における心拍数および対体重酸素摂取量は,回転数の増加に対して有意に増加した (p<0.05).クロスオーバー法による結果も同様であった.受動ペダル運動における心拍数や酸素摂取量の増加は,運動を自主的に実施できない患者へのリハビリに応用可能であることが示唆された.今回の被験者の受動ペダル運動時(回転数80rpm)の酸素摂取量は,最高酸素摂取量の20%程度であった.受動ペダル運動時の心拍数や酸素摂取量の増加は,延髄を通して,心臓交感神経を亢進させる筋機械受容器反射により増加するものと考えられる.タンデム自転車エルゴメータを用いた受動ペダル運動時の心拍数と酸素摂取量は,ペダル回転数に依存して有意に増加した.
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Kawasaki Journal of Medical Welfare
巻: 23 ページ: 65-70
European Journal of Sports & Exercise Science
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