研究課題/領域番号 |
15K01518
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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研究分担者 |
山地 啓司 立正大学, 法制研究所, 特別研究員 (50012571)
澤 聡美 富山大学, 人間発達科学部, 講師 (80369488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体育科教育 / 身体教育学 / 運動有能感 / 体力 / 自信 / モンゴル国 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、体育科で学習される運動技術の確かな定着が児童のセルフエフィカシーや運動有能感を育み生きる力を高めるという仮説の実証研究である。 平成28年度の研究実施計画は、27年度の対象者に対しての以下の継続研究であった。1.富山県射水市立N小学校6年生児童58人を対象者として、運動有能感調査・生活健康調査・新体力テストを実施した。この結果、N小学校の58人の児童は1年生から6年生までの縦断的研究ができた。また、新規に射水市立K小学校全校児童596人を対象者として同じ調査を実施した。2.モンゴル国において、平成27年度と同様の調査を実施した。ドルノド県チョイバルサン市第12学校に在籍する940名について継続調査を実施した。また、ウランバートル市第28学校に在籍する約1,000人の児童を新規に縦断的調査の初年度として実施した。 富山県のN小学校の6年間の縦断的調査から、児童の外遊びの習慣が体力と関連している事が解った。特に、6年間ほとんど外遊びの習慣のない児童の体力は確実に低下する傾向が明らかとなった。児童の体力と関連する生活習慣もわかった。「背筋を伸ばしていますか」という項目は体力を予測する有意な因子であった。6年間全ての学年において、体力が平均以上だった子どもの要因として2年生で「めまいや立ちくらみをすることがありますか」、3年生で「家で牛乳を飲んでいますか」、5年生で「スナック菓子を食べていますか」、「すいみん時間はどれぐらいですか」、「食事の前に手を洗っていますか」、6年生で「夜決めた時間に寝ていますか」という項目に関しては体力を低下することに関する要因であった。 本研究では体力が高い子どもは生活習慣が良いという関係性を支持しない生活・健康項目が確認された。これらの関係性については、縦断的研究として追及する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童の全体のデータの収集は確実に実施できた。しかしながら、運動技能の獲得に自信のない児童の抽出はできたが、その児童に対する運動指導という介入研究はほとんど行う事ができなかった。それは、当初介入実験の対象校として設定していた小学校を研究協力者の異動により変更したことによる。しかし、新たに縦断的調査が可能な小学校での研究がスタートしたので、平成29年度以降には介入実験も可能な計画を立てている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度からの縦断的調査を継続する。コホート研究として一人一人の児童の追跡調査を行う。運動ができない・嫌いという児童に何かひとつの運動技能を獲得する支援(介入研究)を行い、運動有能感が向上し、自信のある児童に変容するという仮説を実証するように計画を推進する。日本の児童の体格・体力・運動能力・生活健康状態をモンゴル国の児童の実態と比較して、児童の成長とライフスタイルの適正な方向性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は86,244円である。人件費・謝金が申請額よりも約86,376円少なかったことが理由である。小学校に依頼して、対象者である児童に運動を指導する介入研究がほとんどできなかったために、計上していた人件費・謝金を使用することができなかった事による。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の配分額は合計500,000円で、人件費・謝金は297,000円、旅費は108,000円計上している。人件費・謝金は、本年度なみであるが、介入研究の分もまかなえる予定である。従って、次年度使用額の86,244円は旅費として使用する計画とする。この旅費は、研究分担者が研究成果を学会で発表するために使用する計画である。
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