研究課題/領域番号 |
15K01520
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
稲垣 良介 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20583058)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 水辺安全 / 着衣泳 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域河川の教材化及び着衣泳事後指導導入による水難事故未然防止学習プログラムを開発することである。 本年度公表した研究成果は、下記の通りであった。 ①水難事故防止学習における未然防止能力の育成を企図した指導法の検討(福井大学大学院教育学研究科教職開発専攻、2015年教師教育研究第8号) 本稿は、水難事故の防止のために学校で行われている着衣泳の学習に着目し、我が国の水難事故の実態から、未然防止の資する学習方法のありかたについて検討した。研究者らがこれまで継続的に行ったプール及び地域河川における着衣泳学習の概要及び水難事故の未然防止に資する学習方法の在り方について地域河川の利用、着衣泳の事後指導が有効である可能性について言及した。 ②地域河川を利用した水難事故防止学習が生徒の河川に対する認識に及ぼす影響(安全教育学会、2015年安全教育学研究第15巻1号) 本稿は、中学生を対象に地域河川を利用した水難事故防止学習を実施し、河川環境に対する認識と河川に対する認識について授業前・後の質問紙調査の結果をもとに検討することで今後の水難事故防止学習のあり方に資する知見を得ることを目的とした。授業前・後の平均得点の差を検討した結果、河川環境に対する認識と河川に対する認識は有意に変容した。また、地域河川での遊び経験の有無別に授業前・後の河川に対する認識を検討した結果、水難事故防止学習の内容は、河川での遊び経験といった生徒の生活実態を踏まえることが肝要であると示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究課題である地域河川の教材化に関しては、平成27年7月にA中学校において地域河川を利用した着衣泳の学習を地域の消防署と協同して実施した。実施内容は、河川歩行、ライフジャケットの着用、ライフジャケットを着用したフローィングポジションに関する内容であった。本研究課題に直接関わる平成28年度の調査に向けて、教育実践上の成果及び課題を把握することが出来た。本研究課題は、自然環境下で実際に教育現場と協力して授業の実践を伴うため、本年度は、概ね順調に進展したと判断する。 また、事後指導に関しては、平成27年4から9月に指導内容を検討するための基礎的な資料を収集することができた。平成28年度日本体育学科において研究発表すべく分析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、下記の2点がある。 ①地域河川を利用した水難事故防止学習の効果を検証するため、事前、事後、遅延の各時点の学習効果を測定すること。 ②水難事故の未然防止に資する効果的な事後指導の在り方を検討するため、学習内容を明らかにすること、学習内容に基づき学習指導展開を検討すること、実際に着衣泳及び事後指導を実施し、学習効果を測定すること。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究課題「地域河川の教材化及び着衣泳事後指導導入による水難事故防止学習プログラムの作成」の進捗状況は概ね順調である。しかし、本研究は、実際の学校現場での授業を対象にしており、天候に左右されやすいプールや河川といったフィールドで実施する着衣泳を扱っている。そのため、悪天候などの理由で計画が変更になったり、実施予定校の変更が生じる。平成27年度は、降雨の為に、着衣泳の実習がやむを得ず中止になった学校があった。また、AEDを購入予定であったが、今年度については消防署が複数の機材を所有していること、それらの機材を本研究に関連して共同使用することが可能となったために支出を見送った。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、前年度中止になった学校で着衣泳の授業を行う予定であり、地域河川を利用した水難事故防止学習を継続して行う予定である。そのための経費として使用する予定である。具体的には、ライフジャケットやAEDなどの機材、調査研究に要する旅費や調査依頼者への謝金にあてる予定である。
|