平成29年度においては、「体育の授業への基本的な動きの観察的評価システムの導入」と、「デジタル教材のツールとしての提案と検証」について研究を進めた。 「体育の授業への基本的な動きの観察的評価システムの導入」に関しては、小学校において、標準化された基本的な動きの洗練化を目指した観察的評価システムを用いた体育授業を実践した。授業実践にあたっては、授業中に児童に出現した基本的な動きの種類と頻度の調査(研究代表者:2009)、児童の「単元」における基本的な動きの変容の調査(研究代表者:2011)、児童による形成的授業評価(高橋:1994)、授業観察チェックリストによる評価(高橋:2000)、授業中の児童の運動量・歩数の測定による詳細な授業評価を行った。授業評価の結果をもとに、小学校体育の授業改善のために、より効果的な基本的な動きの洗練化を目指した観察的評価システムの活用方法を検討した。 「デジタル教材のツールとしての提案と検証」に関しては、開発した基本的な動きの観察的評価システムの目的と具体的な内容、授業実践での活用方法の詳細を明記したマニュアルの作成を手がけた。マニュアル案をもとに、小学校において、低中学年の「体つくり運動」領域の「多様な動きをつくる運動(遊び)」の授業実践を実施した。授業実践においては、「単元」内の全ての授業の実施状況を分析した。その結果から、授業への普及状態と授業改善の状況をチェックし、基本的な動きの評価システムのデジタル教材のツールとしての活用を検討した。
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