研究課題/領域番号 |
15K01524
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
三輪 佳見 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00182064)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運動指導論 / 体育教員養成 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、子どもを対象とした指導実践を継続して実施し、子どもの特徴的な動きを撮影することによって模倣対象として用いる素材を集めた。また、この動画素材を基に模倣実習を試行した。平成27年度は器械運動(マット運動)領域を取り上げたが、他の運動領域にも対象を拡大した。 第1にボール運動であるが、サッカーのインサイドキックを取り上げた。体育を専攻する教員養成課程の大学生を対象にして、運動を実施する前に注意していることを聞き、次に子どもの動きをビデオで見てその特徴を記述してもらった。そして、子どもの動きを模倣し、模倣するためにどのように動きの意識を変えたか答えてもらった。しかし、インサイドキックそのものをあまり経験していない学生は模倣対象の動きとの差を感じにくいこと、多くの学生が子どもの動きを共感的に観察できないことなどが問題となって、子どもの動きの改善点に気づいたり、自己の動きの観察の改善にはつながらなかった。 この結果を受けて、第2に剣道の面打ちに取り組んだ。筆者の指導のもとに、大学院生が有効打突の面打ちができる大学生を対象に模倣実習を試みた。ボール運動と同じ手順で進めていき、最後に子どもの動きの特徴を残したまま有効打突として認められるような打ち方を実施してもらうと、自己の運動遂行時には気付かなかった動きに意識が向くようになり、修正指導に必要な動感素材を模倣によって見つけるという可能性が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度から模倣実習を試みる運動の種類を増やした。また、子どもの動きを共感的に観察できず、模倣しても自己の動きへの意識が変わらないという結果を受け、実習内容を追加した。この措置によって、指導経験のない学生が、指導者として修正指導に必要な動感素材を見つけることができた。このように模倣実習が体育教員養成に有効な方法である可能性を明らかにできたので、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は研究最終年度に当たるため、これまでの模倣実習の手順をさらに精査し実践する。そして研究成果を論文にまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度計画に挙げていたドイツにおける研究会が延期になったため、旅費が減額し、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
子どもに特徴的な動きを確認するために子どもの運動指導を継続する。指導のアシスタントとして学生を雇用し、安全管理の体制を整える。また、研究成果を公表するために学会に参加する。
|