研究課題/領域番号 |
15K01526
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
京林 由季子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20234396)
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研究分担者 |
平田 佳弘 環太平洋大学, 体育学部, 准教授 (30725320)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中学校 / 武道授業 / 体育科教育 / インクルーシブ教育 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
本研究は、中学校の武道授業の実施状況、武道授業担当教員の武道授業実践における意識、武道授業における学習面又は行動面で著しい困難を示す生徒の実態について把握し、武道授業における合理的配慮の提供について考えるための基礎的資料を得ようとするものである。平成28年度は、平成27年度実施の岡山県公立中学校を対象とした調査について、分析と考察を進めた(回収数:103校、151名、)。 担当教員の武道授業実践に関する意識では、「とても困難を感じる」「少し困難を感じる」との回答が最も多かったのは、「指導体制」(48.8%)であ り、次いで「指導内容(技能)(46.5%)、「指導内容(知識、思考・判断)」(42.1%)であった。種目別では、「施設の整備」「用具の準備」「指導体制」については「相撲」が「困難を感じる」が多く、「単元計画」「指導内容(技能)」「指導内容(態度)」「指導内容(知識、思考・判断)」「評価」については「剣道」が最も多かった。剣道は、「柔道」「相撲」と比べ準備する教材・用具が多く、剣道着の着装や竹刀の取り扱い方など日常生活ではほとんど経験しないことが多く含まれ指導内容が多いことが関係していると考えられた。 「通常学級在籍で武道授業に困難を示す生徒がいる」と回答した教員は48.3%であったが、その内訳は障害の診断名を有する生徒が53.8%であり、診断名としては、発達障害(LD,ADHD, ASD)の診断名を有する生徒が多かった。困難を示す生徒への支援としては、外部指導者や支援員の活用、生徒同士での教え合いの場の設定、視覚支援教材の活用等が挙げられていた。 武道授業の指導法、及び、特別支援の双方で、武道専門教員ではない中学校保健体育教員が求めている資料や研修がまたまだ不足しているのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
岡山県の公立中学校を対象とした調査は予定より早く平成27年度中に調査を実施できたため、平成28年度はその調査結果を分析考察し、国際学会及び日本武道学会において発表することができた。 一方、岡山県に引き続き中国地方のA県での調査の実施を検討し、A県教育委員会に調査の依頼をしたものの、秋に発生した地震の影響により学校教員が多忙を極めていることから、調査を実施することができなかったため当初予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成28年度に分析した内容について、日本武道学会及び関連学会で発表する。 (2)中学校の武道授業を担当する武道専門教員及び専門でない教員それぞれへの面接調査を実施し、武道授業実践に関する意識と武道授業に困難を示す生徒の実態と支援について具体例をデータを収集する。 (3)中学校公立中学校の武道授業担当教員への質問紙調査を実施しデータ数を増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に、中国地方のA県の公立中学校における質問紙調査、及び、面接調査の実施を検討していたが、地震の影響もあり実施を見送った。そのため、その調査に使用予定の通信費(郵送費)、分析のための人件費、調査依頼や回収のための旅費等を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施できなかったA県等での質問紙調査及び面接調査の実施に関わる通信費(郵送費)、人件費(分析)、旅費(調査依頼、面接調査)等に使用する。
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