研究課題/領域番号 |
15K01526
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
京林 由季子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20234396)
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研究分担者 |
平田 佳弘 環太平洋大学, 体育学部, 准教授 (30725320)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 体育科教育 / 武道授業 / 武道専門教員 / 教職課程 / 特別支援教育 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
・中学校保健体育教員の武道授業実践に関する意識について、武道専門教員と非専門教員の意識を比較分析した。有効回答は151名であった。武道授業の1クラスの授業の平均人数は26~35人が49.5%と最も多く、外部講師の配置は25.9%、支援者の配置は10.0%の学校で行われていた。武道専門教員(柔道授業の担当教員73人中30人、剣道授業の担当教員58人中15人)が武道授業で困難を感じる項目は、高い順に「指導内容(技能)」(28.2%)、「指導体制」(26.1%)、「指導内容(知識、思考・判断」(26.0%)、「評価」(26.0%)であった。非専門教員が武道授業で困難を感じる項目は、高い順に「指導体制」(55.0%)、「指導内容(技能)」(55.0%)、「指導体制」(26.1%)、「評価」(51.0%)であり、非専門教員の半分以上が、武道授業の実践に困難を感じていることが明らかとなった。多様な生徒を含む必修の武道授業の実践においては、非専門の教員が、安全に楽しい授業が実施できるように、武道指導の実施体制とともに、知識や技術を修得できるよう研修や資料を充実していくことが求められることが考察された。 ・保健体育科教員養成の視点から、中学校・高等学校教育実習(保健体育)の実習状況と実習生の意識について調査した。実習生が実施した「保健」「体育」の授業時間数は,「保健」が3.9時間、「体育」が14.7時間であったが実習校により0時間から数十時間までと違いが大きかった。教員志望度(10段階評定尺度)は実習の後で有意に高くなっていたが、実習生の担当単元や活動内容の実態、授業での着眼点等の質的内容についても情報の収集と分析を進め、教職課程の教授内容に反映させる必要性について検討された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・中学校教員を対象とする調査データの収集数は予定よりも遅れているが、A県教育委員会・武道推進協議会との連携において、A県において2回目の武道授業の実施状況に関する調査が実施できた。これにより、年次変化についても分析可能となった。 ・また、教育職員免許法及び同施行規則の改正において、新たな教育課題の一つとして特別支援教育に対応した教員養成への転換が示されていることから、本研究を補完する研究として、教職課程(保健体育)専攻学生の特別支援教育に関する知識と意識に関する調査の実施準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成29年度実施のA県の中学校の武道授業の実施状況について集計し、平成27年度調査と比較・分析し、まとめる。 (2)武道授業担当教員に対する調査については、web調査も取り入れ調査データ数を増やす。 (3)特別支援教育の視点を含む保健体育科指導法の授業内容の検討に向けて、現行の教職課程(保健体育)専攻学生の特別支援教育に関する知識と意識に関する調査結果を分析し、まとめる。 (4)平成29年度の研究成果を、日本体育学会、日本発達障害学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・A県以外の他県での調査の実施準備が整わなかったため、調査に関わる人件費等の支出がなかった。また大学の教職課程に関わる調査ではweb調査を取り入れたためデータの入力・集計の人件費がかからなかった。 ・今年度は、武道担当教員を対象とした調査のデータ数を増やすため、web調査を業者に依頼する計画であり、そのための調査費(人件費等)として使用する予定である。 ・研究成果の発表・情報収集のための旅費として使用予定である。
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