本年度は,3年間の総括を行った。総括に当たって,福岡県A中学校の実践を行った。実践は,ハードル走である。ハードル走で熟練教師が思考力を向上させる授業を展開した。方法は,iPadに子供の運動を運動を撮影し,子供へ動画をスロー再生させたり,動画に記述したりして,どこを修正すべきかをフィードバックし,子供がそのフィードバックを基に運動します。そして,ハードル走で重要な,着地脚から次の一歩までの素早い足動作について思考させる授業を展開した。その結果,思考が「事実的知識を記憶する」から「手続的知識を応用する・分析する」に変容する子供が多かった。その背景には,教師が子供の動きを見取り,的確にフィードバックできたこと,つまずいている子供を見抜き,iPadを有効に利用し,フィードバックできたことである。つまり,熟練教師は,運動の重要なポイントを理解しており,40名いる子供の中で誰にどのようなフィードバックをかけると思考に影響を及ぼすか熟知していることであった。このことはインタビュー調査からわかった。また,頭に付けたカメラから何を見ているかをインタビューしたところ,着地脚から次の一歩までの素早い足動作について思考するに必ような知識・技能を有しているか観察していることであった。以上のことから,熟練教師は以下の知識を有していることが分かった。 ・運動を効果的に実施するための技術ポイントを理解している。 ・的確にフィードバックを与えることができる。 ・思考を促す基礎的基本的知識・技能を保証できる。 ・つまずきを起こしている子供を観察し的確に見抜くことができる。
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