研究課題/領域番号 |
15K01529
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
土方 圭 亜細亜大学, 法学部, 講師 (50375367)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育概念 / 風土概念 / 二次元マッピング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、野外教育の理論的枠組みを関係概念としての「風土」に着目して再構築し、この風土的野外教育における実践上の要点を明らかにすることである。 平成28年度はこの目的のうち、構築された理論的な枠組みを野外教育の実践に反映させるべく調査の準備に着手した。昨年度の懸案事項であった野外教育の基本的原理の明文化についての研究論文が受理され、公となったこの原理を基に調査用具の開発が行われた。この評価用具の開発は、野外教育実践についての現状把握を補助し、目標とする教育実践との距離を可視化する可能性を有する。 結果として、野外教育を問い直し新たな視座を付与する試みといえる張本の「野外教育における『教育』概念の再検討」及び土方の「『野外』概念再検討による示唆」と先の「野外教育の原理の明文化」による知見を援用して、野外教育実践者が自身の活動を布置(マッピング)可能にする二次元マッピング図が提案された。この図は、「教育」をX軸、「野外」Y軸にとり直交させ、平面上に二つの情報を有する座標(X、Y)として定位可能にする(X軸→教育軸:意図的・無意図的、Y軸→野外軸:風土性・自然科学性)。これにより野外教育という広大な地図を4領域に緩やかに区分可能となった(①風土性×意図的教育②風土性×無意図的教育③自然科学性×意図的教育④自然科学性×無意図的教育)。また、「野外」は風土概念により基礎付けられ、布置図のY軸を担っている。この軸「野外」は身体性、場所性、歴史性という3契機により成立すると解釈され、軸のベクトル要因「風土性」は、より詳細に3契機の総体とされる必要がある。そこで「X、Y座標の図」に加え,先の風土性を補足する契機を布置の要素とする別の図(正三角形のレーダーチャート)も作成した。そして、これらの内容については、野外教育の専門家一名の精査を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定した研究計画に沿い概ね目標を達成している。 本年度の研究成果として、日本野外教育学会第20回大会にて発表を予定している(2017年6月18日:発表演題「野外教育を可視化する-教育と風土の概念整理に基づく二次元マッピングの試み -」)。また、同学会の研究誌「野外教育研究」への投稿も予定している。しかし、研究成果といえる学術論文の刊行が完全に予定通りの進捗をしているとは言えない。これは昨年度予定していた研究論文の受理が今年度にずれ込んでしまったことが大きな原因といえる。 また、開発された評価用具の実践適用に向けた予備調査の実施にも至っていない。 そのため、これらの点について進捗の遅れとして申請した
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には風土概念により基礎づけられた野外教育の実践を評価する用具の開発がなされた。続く平成29年度は、先ずこの評価用具を実践で用いるための予備調査を実施する。その後、我が国における風土的な野外教育実践に関する調査を実施する。 何よりも先に、平成28年度の研究成果として学術論文の受理を目指す。この論文の受理を受けて、作成された評価用具を実践で活用するために予備調査を実施する。 その後、野外教育を実践する団体についての調査が行われる。調査は団体の指導者を対象に実施され、各団体の野外教育実践の現状が先の評価用具によって明らかになる。また、この調査により様々なタイプの教育実践の存在が明らかになるが、それらの特徴と団体の指導者の理念及び意識との関係についてデータ収集及び分析が行われ。これにはPAC 分析の手法が用いられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の論文投稿における受理が遅れたため、本年度予定していたと当該論文に基づいた評価用具の開発及び調査を実施することができなかった。それにより調査実施のために計上していた予算を執行することができずに次年度への繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度予定していた調査については次年度に速やかに実施される。
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