(目的)近年、若年女性において適当な身体活動や十分な血中ビタミンDが必要であるにもかかわらず、その不足が深刻な状況である。それにより、骨粗鬆症やがんや生活習慣病の発症など、将来の健康状態が不安視されている。本研究では、屋外で行う身体活動の有効性を若年女性の血中ビタミンD濃度および運動機能に及ぼす影響の観点から検証する。 (方法2018年10月~2019年1月までの血中ビタミンDが低下する時期に、運動習慣の無い女子学生を対象に、1.屋外での軽運動群(屋外群):週3回30分以上の屋外での運動、2.屋内での軽運動群(屋内群):週3回30分以上の屋内での運動、3.運動なし群に分け、身体活動の実施環境の相違による血中ビタミンD や骨代謝能の相違などの血中ビタミンD および各測定項目、コンディションの関連を調査した。血中ビタミンD動態の評価としては25(OH)Dおよび副甲状腺ホルモン(PTH)、血中カルシウム(Ca)、骨代謝能については、骨吸収マーカーとして骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP-5b)と、骨形成マーカーとして骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)を用いた。骨強度は超音波骨評価装置を用いて、右足踵骨の超音波伝播速度と透過指標を測定し、算出された音響的骨評価値を用いて評価した。体力測定は、筋力(握力)、平衡性(閉眼片足立ち)、筋持久力(上体起こし)、全身持久力(3分間歩行)、下肢筋力(椅子立ち上がりテスト)、歩行能力(2ステップテスト、10m全力歩行)とした。 近年、低ビタミンDによる身体への悪影響や、若年女性の身体不活動や過度な食事制限によるやせの増加など、将来の健康状態に対しマイナスになることが多く報告されており、本研究は、様々な条件にある女性の健康の維持・増進に有益な知見となるだろう。
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