研究課題/領域番号 |
15K01534
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
安永 明智 文化学園大学, 現代文化学部, 准教授 (30289649)
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研究分担者 |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00318817)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 座位行動 / 身体活動 / 加速度センサー付活動量計 / 健康関連QOL / 高齢者 / 身体機能 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、高齢者の座位行動を含む身体活動状況と人口統計学的要因や健康指標との関係を検討した。具体的には、東京近郊に居住している65歳以上の在宅高齢者を対象に、質問紙調査(約1200名)や来所調査(約350名)から得られたデータを基に、客観的に測定された身体活動状況(座位行動時間を含む)と人口統計学的要因、健康指標、身体機能・体力等の関係について横断的な分析を実施した。座位行動を含む客観的な身体活動量は、加速度センサー付活動量計を用いて測定した。得られた主な結果は、以下の通りである。1.活動量計で測定された座位行動時間は、男性で1日平均548分(9時間8分)、女性で1日平均485分(8時間5分)と、高齢男性は高齢女性と比較して座位行動時間が長い、2.座位行動時間と年齢との相関は非常に弱い、3.座位行動時間と低強度の身体活動時間は比較的強い負の相関を示すが、座位行動時間と中高強度の身体活動時間の相関は中程度である(負の相関関係を示す)、4.座位行動時間が長いほどうつ得点は高い、5.座位行動時間が短いほど健康関連QOLは良い、6.座位行動時間が短いほど歩行能力等の身体機能・体力は高い。結果から、座位行動時間が長いことと心身の健康の悪い状態に正の相関関係が見られ、日常生活で座位行動時間を減らしていくことが、高齢者の心身の健康の維持増進に役立つ可能性が示唆された。また座位行動時間の長短には、性別などの人口統計学的要因や心理的要因が関連するだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベースラインでのデータの取得、整理も順調に進んでいる。統計解析に関しても、共同研究者と分担して進めており、問題はない。現在、これまでの研究成果をまとめ、海外の関連雑誌に投稿するべく準備を進めている。また平成28年度にオーストラリア・メルボルンで開催される国際学会において研究成果を発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ベースラインデータの詳細な分析を行い、また追跡調査を行い、座位行動が高齢者の心身の健康に与える影響や座位行動の長短に影響を与える要因に関してより詳細に検討していく。更に、座位行動を低強度もしくは中高強度の身体活動に置き換えた場合(例えば、1日10分の座位行動時間を減らして、1日10分の中強度の身体活動を増やした場合)、心身の健康にどのような効果をもたらすのかについて、統計学的モデルを用いて検討する。 座位行動の多少に関連する要因について調査研究で同定した後は、高齢者の座位行動時間減少のための介入プログラムを作成し、無作為化割付対照化比較試験(RCT)デザインを用いて検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
活動量計を購入する予定で予算を計上していたが、所有している活動量を使用したため、購入しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在使用している活動量計は型が古いため、また故障も多いため、本年度に活動量の測定アルゴリズムは同じであるが、最新のものを追加購入する予定である。
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