研究実績の概要 |
平成29年度は、高齢者の座位行動を含む身体活動の状況と健康指標の関係及び座位行動時間の減少に向けた教育介入の効果を検討した。 東京近郊在住の65歳以上の在宅高齢者を対象に、加速度センサー付活動量計を用いて客観的に測定された座位行動を含む身体活動状況と身体機能及びメンタルヘルス(うつ指標)の関連について、Isotemporal Substitution Analysisを用いて横断的に分析、検討した。身体活動及び座位行動は、座位行動(1.0~1.5メッツ)、低強度身体活動(1.6~2.9メッツ)、中高強度身体活動(3メッツ以上)に区分した。分析の結果、身体機能に関しては(分析対象者287名;年齢範囲65~84歳)、1日10分の座位行動時間及び低強度の身体活動を中高強度の活動に置き換えることで、歩行能力、移動能力、バランス能力の統計学的有意な改善が示されること、メンタルヘルスに関しては(分析対象者276名;年齢範囲65~85歳)、1日30分の座位行動時間を低強度活動に置き換えることで、うつ症状の統計学的有意な緩和が示されることが示唆された。 また、高齢者45名(欠損を除く分析対象者30名;年齢範囲66~86歳)を対象に、座位行動時間の減少に向けた知識提供型の介入を実施した結果、介入前1か月間の座位行動時間(811±1134分)と比較して、介入翌月の1か月の座位行動時間(782±1025分;t=1.739, df=29, p=.093)、介入翌々月の座位行動時間(761±946分;t=1.793, df=29, p=.083)に減少の傾向が示された。
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