研究課題/領域番号 |
15K01538
|
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
平川 武仁 南山大学, 人文学部, 准教授 (50404942)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | タイミング制御 / 非線形科学 |
研究実績の概要 |
スポーツなどで合目的な運動を産出する際,チームメイトなどのプレーに対して同期するようなタイミングが一つの目安となる.このようなタイミングには,能動的な同期行動における力量発揮として,オンとオフのタイミング同期があると推察される.つまり,スポーツでの時間間隔の産出に関する知見として,呈示される時間間隔に対するオン・タイミングとオフ・タイミング一致の運動制御機構について解明できていないことが挙げられる.本研究では,これらのタイミング行動2種に加え,一定の時間間隔,誤差を有した時間間隔(1/f型揺らぎ,白色ノイズ)への同期3種と,運動頻度(周波数)7種,との関係を検討することを主なる目的とした.これらの測定条件を実施するため,2015年度に,測定機器(開閉器式スイッチ)の作成と,聴覚に音声呈示および計測するプログラミングを作成し,次年度以降の実験測定の準備を行う.これは,次年度以降に実施する測定の共通実験系となる.2016年度には小筋群運動として指タッピング,2017年度には大筋群運動として肘屈伸運動によるタッピングを測定課題として計画している.そして,これらを解明する理論的背景に非線形力学系理論を援用し,同期タイミングにおける運動制御の現象を解明することを研究の最終到達点としている.これらの一連の研究により,スポーツにおいて力量発揮のタイミングを力を込めるタイミング,あるいは力を抜くタイミングのいずれが重要かを解明すること,そしてスポーツにおける人間の運動制御における揺らぎ(Fluctuation)の影響を検証することとなり,身体教育学としての新たな知見を得ることに繋がっていく.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度(2015年度)の計画は,次年度以降の共通実験系の準備をすることであった.まず正確な時間間隔を呈示する実験装置が必要となる.その準備として,1 年目の前半にオン・タイミングとオフ・タイミングで共有できる閉開器式スイッチの作成を行った.このスイッチは電圧信号(5V以下)によってオン・オフを判別する構造にしている.そして,後半に刺激呈示および計測のプログラムを組んだ.これらの実験プログラムも次年度以降にも共有する実験装置の1つである.さらに,初年度の最終目標であった,本申請者を測定対象者とした予備実験を行うことで装置の動作の検証,および測定結果の予備的な解析をすることで解析プログラムの作成を実施した.現在までに,実験測定を実施するための研究審査を所属大学に申請中であり,承認され次第,実験測定を実施する計画である.
|
今後の研究の推進方策 |
大学に申請中の研究審査が承認され次第,実験測定を開始する予定である.今年度の測定課題(指タッピング)においては,測定対象者の募集および測定を7月下旬まで,計測されたデータ解析および結果のまとめを8月下旬までに,それぞれ終了するように計画している.さらに,これらの研究成果を学術論文として記述・投稿に至るまでを12月下旬までに実施するように計画することで研究の推進を順調に進めていきたい.
|