研究課題/領域番号 |
15K01542
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
續木 智彦 西南学院大学, 人間科学部, 講師 (60468791)
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研究分担者 |
久保 健 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (60125698)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 身体の能力 / コオーディネーション / 評価 |
研究実績の概要 |
今日の「子どものからだと動きの育ちそびれ」という事態のなかで、特に小学校低・中学年の体育授業が困難を引き起こしている問題に対して、「教えるべき内容」と「育てるべき資質や能力」との関係をどのように位置づけて折り合いをつけるかは体育科教育の課題である。また、これらの問題を解決しようとした場合に、「代位的目標達成指標」や「コオーディネーション能力」が折り合いをつける「もの」として位置付くと推察される。本研究では、この両者を手がかりとして、体育科教育における「教えるもの」の教授=学習(学習=指導)の成果と、それを通して「育てるもの」の育成・形成の成果とをどう関係づけたらよいかについて明らかにすることが目的である。 昨今、体育科では身体能力を育むことが重要な課題とされてきたが、体育授業を直接的な「体力つくりの場」とするのではなく、運動の技能や知識を学習することを授業の基本に据え、体力問題にも応えようとしてきた。体力づくりの場となると持久走(校庭を走る)となりがちな側面もある。技能や知識を学習するなかに、身体の能力を育む視点を盛り込みその成果を評価することが大切である。 学校と直結させることを狙うのであれば「新体力テスト」を指標とすることも考えられるが、「からだと動きの育ちそびれ」を「動きの学習能力・自己組織化能力」と位置づけているため適当な指標とは考えにくい。その場合の評価指標は、準備運動プログラムそのもの、主運動のスキルが向上するといった(代位的)目標達成指標、もしくはコオ-ディネーション能力を測定し評価するかといこうとが考えられる。そこで、身体の能力を評価するために、閉眼片足立ち、ねらい飛び降り、ねらいボール投げ、20mスラローム走、選択棒反応を測定項目として選定した。測定方法の開発にあたり28年度は、東京都、北海道の小学校、都内自治体スポーツ事業内にてデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度の課題は、「代位的目標達成指標」と「コオーディネーション能力」から「教えるべき内容」と「育てるべき資質や能力」との接点・関係を捉えて評価方法を試案することであった。妥当性の検討という課題は残しているものの、おおむね順調に研究が進んでいると思われる。ただし、選択棒反応の測定項目については、go-nogoテストに置き換えることを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、測定・評価指標の妥当性を、教育現場で検討をする。妥当性の検討は、研究協力者の沼倉教諭と石井教諭の勤めている小学校の協力を仰いで実践検証することになっている。そして、①体育授業の成果、②体力テストの結果、③試案した測定・評価方法(代位的目標達成指標、コオーディネーション能力測指標)との三者間の関係を明らかにする。現在は体育授業の中身について、実践者と共に内容を詰めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度計画していた調査の一部が、2017年度に繰り越しになった。2017年度は、学校・スポーツ施設にて実践的な調査を多く実施するために2016年度分助成金が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
小学校現場にて実施する調査のための実験機材、またその出張費等に使用する。
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