研究課題/領域番号 |
15K01551
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
榎本 靖士 筑波大学, 体育系, 准教授 (90379058)
|
研究分担者 |
鍋倉 賢治 筑波大学, 体育系, 教授 (60237584)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | モーションセンサー / ランニング動作 / カルマンフィルター / 上下動 / マラソン / スティフネス |
研究実績の概要 |
モーションセンサーによるランニング動作の評価の妥当性の検証を引き続き実施した。まずセンサー座標系と絶対座標系との関係を確認した。センサーの加速度とジャイロセンサーの信号を積分し続けることではノイズにより姿勢を特定できなくなる。一方、重力加速度ベクトルを特定できれば絶対座標系における鉛直軸が特定できる。センサーの姿勢に急激な変化が生じない仮定のもとカルマンフィルターを用いて、さらにセンサーの積分値を合わせることでセンサーの姿勢をほぼ特定できていることが確認できた。その成果の一部を国際スポーツバイオメカニクス学会において口頭発表した。 さらにモーションセンサーを用いたより実践的な研究を企画し、実践した。すなわち、フルマラソン大会においてセンサーを用いた計測を実施した。およそ100名にモーションセンサーを装着してフルマラソンにおいて動作の計測をおこなった。そして、新たな評価指標として脚および鉛直有効スティフネス(Kleg、Kvert)を算出し、評価を試みている。本来は最終年であったが、サバティカルを取得し、海外研修に出たため、半年間の延長を希望した。海外研修において海外の研究者とセンサーを用いた計測について議論することができ、本研究の位置づけが国際的にも関心が高く、優れた研究成果へとつながることが確認できた。延長することによって、マラソンにおける計測結果をまとめて国際学会で発表するとともにこれまでの知見をまとめて成果報告をおこなう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年12月から30年3月までサバティカルを取得し、海外研修に出たため、予定していた研究に遅れが生じた。研修にでる直前にマラソン大会におけるセンサーを用いた計測を実施したが、そのデータ処理と考察が十分に進まなかった。一方で、海外でも同様に慣性センサーを用いたランニング動作の計測を実施しており、今後の共同研究に向けて有意義なディスカッションができた。海外の研究者との意見交換により、本研究の強さと弱さも認識することができ、遅れが生じたものの研究の質は高まったと考えている。半年間の延長が認められたため、早急に研究のまとめに取りかかるとともに、成果を国際学会で発表するとともに、成果報告としてまとめていく。
|
今後の研究の推進方策 |
モーションセンサーを用いたランニング動作の評価法はほぼ確認できた。今後はよりトレーニングやレース場面での実践的な利用と評価をおこなうとともに、現在のセンサーの利用方法をあらためて再検討するとともに、今後の発展についても検討する。すなわち、研究成果をまとめるにあたって、精度の検証実験をおこなったばかりでなく、さまざまな場面でデータを計測しているため、それらをまとめることで、研究成果報告とする。平成29年12月から30年3月までの海外研修中において海外の研究者と意見交換するなかで、この研究の価値と成果をあらためて確認することができた。本研究は、3年間の研究として予想以上に進展しており、これは本研究の取り組みが優れているばかりでなく、センサー技術の進歩とそれを利用した研究が国際的にも大きく進んでいるためでもある。この分野で国際的な水準で研究を推進することはスポーツ科学および科学的なスポーツ実践において価値が極めて高いことを示唆している。半年間の延長を申請し認められたため、最後のまとめに取りかかるとともに、海外研修中に意見交換した海外研究者と今後の共同研究を企画し、この研究を発展させることができる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年12月から30年3月までサバティカルを取得し海外研修に出たため研究に遅れが生じた。半年間の延長を認められたため、研究経費を次年度に繰り越し、研究成果報告をまとめるために必要な経費と国際学会で発表するための経費とする。
|