研究課題/領域番号 |
15K01555
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
酒井 忍 金沢大学, 機械工学系, 助教 (80196039)
|
研究分担者 |
坂本 二郎 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (20205769)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | スポーツ用具 / ソフトボール / 野球 / 投球機 / ハンド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,実投手の投球動作を再現し得る野球用アッパーリム式ピッチングマシンとソフトボール用ウインドミル式ピッチングマシンを開発することである.開発するマシンは,個性豊かな実投手の独特な投球フォームと全く同じ投球動作で投球をすること,ボールを握るハンド部は,ヒトの皮膚触感を持つ指を有し,野球ボールやソフトボールの縫い目に合わせてボールを握り高速リリースが可能なことを特徴とする.また,柔軟ハンドのリリースのタイミングを変化させて,ボールの球種やスピンを制御可能な実用的なマシンの開発を行う. 本年度は,風車のように2回転させてから投球をするウインドミル投法が可能なソフトボール用アーム式ピッチングマシンを設計,試作を行った.このため,一番重要なキーテクノロジーであるソフトボール用ボールの把持とリリースが可能な指および柔軟ハンドの設計,製作を行った.製作したハンドの試験を行い,問題なく把持動作とリリース動作できることを確認した.また,試作したマシンの投球シミュレーションを実施し,ウインドミル投球時のボールのリリースのタイミング(指の開閉動作時間)と投射角(投球コース位置)との関係について検討を行った. さらに,製作した柔軟ハンドを本マシンに搭載させ,11mの的に向かって投球する実験を10球行い,球速や投球精度を測定した.その結果,引張バネの伸張量が100mmの条件下では,平均球速は約77.2km/hであった.一方,投球精度は,標準偏差が縦方向450mm,横方向50mmであり,横方向の投球精度はボール半個分の高い精度であった.一方,縦方向の精度があまり高くないため,リリースのタイミングをさらに検討し,改善していく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボールを把持する柔軟ハンド部を設計および製作に成功し,試作したハンドを用いてソフトボール用ボールを把持した結果,全く問題なく把持できることが確認できた.また,試作した柔軟ハンドを用いて,現在まで未開発であったウインドミル投法が可能なソフトボール用のアーム式ピッチングマシンが試作できた.
|
今後の研究の推進方策 |
柔軟ハンドの把持およびリリース動作を確実かつ高速に行えるように改良する.また,実投手のウインドミル投法のフォーム画像を詳細に分析し,逆動力学およびCAEによる投球シミュレーションを行い,投球動作と各関節動作を同定した投球アルゴリズムを開発する.このアルゴリズムを用いて試作したソフトボール用ピッチングマシンを用いて,投球フォーム,投球ボールの球速,球種および投球精度を検討する.
|