研究課題/領域番号 |
15K01556
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
吉田 和人 静岡大学, 教育学部, 教授 (80191576)
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研究分担者 |
杉山 康司 静岡大学, 教育学部, 教授 (10206443)
村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 卓球 / サービス / フェイント動作 / ラケットの動き / ボールの回転 |
研究実績の概要 |
卓球の競技現場では,「レシーバーが十分な打球体勢にありながら返球の困難なサービスは,回転数が大きい」と考えられることが多かった.しかし,近年の研究により,サービスの回転数の大小が,レシーバーの返球の難易を必ずしも決定しているわけではないことが明らかにされた.そして,ボールの回転によるサービスエースを獲得するためには,優れたフェイント動作が必要であることが示唆された.そこで本研究では,「フェイント動作が優れている」と評価されている卓球サービスを対象に,(1)サーバーの動きと球質(回転,速度,コース)の測定,(2)フェイント動作の重要な点に関するインタビュー調査を実施する.それらの結果から,「優れたフェイント動作とはどのようなものか」,「なぜ,レシーバーは球質判断を誤るのか」の2点について明らかにする. 3年計画の1年目にあたる平成27年度には,卓球サービスにおけるサーバーの動き,およびボールの回転や軌道を即時評価するシステム(卓球サービス評価システム)の開発を行った.小型9軸ワイヤレスモーションセンサーを新たに導入することにより,これまでは十分な測定の難しかった,卓球サービスにおけるラケット面の向きの時系列変化に関する詳細な分析の見通しがついた.卓球サービス評価システムでは,これらに加え,ラケット中心点の空間的な動き,サーバーの身体各部の動き,ボールの動き,およびボールの回転の測定を,少人数の験者で簡便に行えるようにすることが課題として残された. その他,本研究に関する過去の関連データを用いて,「卓球選手は,サーバーの動きのどこに着目しているか」に関する分析を行った.また,国内外の卓球指導書を対象に,サービスに関する記述内容の調査を行った.これらについては,成果公開の準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
卓球サービス評価システムについて,できるだけ少人数の験者で簡便に利用できるものとするため,「卓球サービスのフェイント動作に関して,どこに着目すべきか」の検討が必要であることが明らかになった.そこで,我々の過去の関連研究のデータ分析,指導書調査などを行ったところ,かなりの時間を要したため,研究にやや遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目にあたる平成28年度には,卓球サービス評価システムの開発を終え,そのシステムを用いて実験を実施する.そして,「卓球サービスの優れたフェイント動作とはどのようなものか」を検討するために,フェイント動作を行った場合とフェイント動作を行っていない場合において,1)ラケットと身体各部の動き,2)ボールの回転と軌道,を比較する.さらに,これらの測定結果と被験者へのインタビュー調査の結果から,それぞれのサービスのフェイント動作の特徴や,それらが開始されるタイミングなどを明らかにする. 3年計画の最終年にあたる平成29年度には,平成28年度の「優れたフェイント動作とはどのようなものか」に関する検討結果を基に,「なぜ,レシーバーは球質判断を誤るのか」を明らかにし,研究成果をまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は,卓球サービス評価システムの開発が遅れ,ラケット中心点の空間的な動きを正確に短時間で測定するためのモーションキャプチャーカメラの購入には至らなかった.このことにより,予定していた実験を実施することができなかった.これらのための予算は,次年度に使用することとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度においては,平成27年度に予定していた機器を購入し,実験を実施する.平成28年度の研究費配分については,既にこれらを反映したものとなっている.
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