本研究は,一過性運動のタイプが認知機能,神経系,心理状態の変化におよぼす影響を検討することを目的とした.具体的には,一過性運動のタイプを①歩行,②レジスタンス運動,③バドミントン(他者と行うレジャー種目として),④コントロール(座位安静)と設定し,各タイプの運動前後での気分(快気分,覚醒度),神経機能(心拍変動),呼気ガス諸量(%VO2max,呼吸数,呼吸交換比),認知機能(ストループ課題による情報処理速度と抑制)を比較した.運動タイプが心身の状態,認知機能あるいは神経機能に与える影響が明らかとなれば,健康づくりのための運動処方に重要な知見を提供できる. 得られた研究成果は以下の通りである.成果1)レジャースポーツとして実施したバドミントンは,コントロール(座位安静)よりも有意に気分と認知機能を向上させる,成果2)レジスタンス運動の気分に対する効果は他の運動タイプより小さい,成果3)運動後の自律神経系の活動(心拍変動)は,安静時と異なり,認知機能の変化と関連しない. 最終年度である平成29年度の計画では,国内外の学会(論文・発表)で成果報告を行うことを目的とし,国内外の学会大会で発表を行い,学術誌への投稿準備を行う予定であった.これまでに本研究の成果は,国内学会発表5回,国際学会発表1回で報告され,国内学会発表の1つは日本体育学会第66回大会測定評価領域において「優秀発表」を受賞した.また,学術誌への投稿は,1編を投稿し,審査中(1回目の査読結果は「修正再審査」.現在revise中)である.また,平成30年5月時点で別の投稿論文1編を投稿する予定である.
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