本研究の目的は、地方都市において現在推進されてきている「スポーツによる地域活性化」に向けた取り組みの実態について、定量的/定性的なデータを用いながら実証的に明らかにすることである。調査対象とした栃木県では、産官学が連携を図りながら「プロスポーツ」(サッカー、バスケットボール、アイスホッケー、自転車ロードレース等)を核とした「地域活性化」に向けた動きがみられる。この研究では、プロスポーツクラブが地域の諸アクターと協働しながらいかなる取り組みに着手してきているのか、そして、そこではどんな実態や課題が生じているのか、ということについて検討した。 最終年度である本年度には、研究プロジェクト全体の総括をした。研究プロジェクト全体を通じて、県内各プロスポーツクラブの観客を対象に、「観戦者調査」(質問紙調査)を実施し、プロスポーツの観戦者特性や観戦者行動の実態について経年的にデータを蓄積できたことは、本研究の大きな成果の一つと言える。また、産官学とプロスポーツの間にネットワークを形成することを目指した「研究会」の内容分析や、自転車をツールとした多角的な「まちづくり」に継続的に取り組んでいる宇都宮市の取り組みに関する記述的研究も遂行し、その成果を学術雑誌や学術図書に論考として寄稿することができた。本研究プロジェクトで蓄積したデータは、今後の研究を推進する上で大きな足がかりとなる資源であり、こうした将来的に活用できる可能性があるデータを収集できたことも本研究の成果と位置づけられる。
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