研究課題/領域番号 |
15K01568
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 教授 (70207207)
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研究分担者 |
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
高峰 修 明治大学, 政治経済学部, 教授 (10409493)
松宮 智生 国士舘大学, アジア・日本研究センター, 研究員 (10741316)
千葉 洋平 国士舘大学, スポーツ・システム研究科, 助手 (10646772)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 競技団体 / 国際交流 / オリンピック競技大会 / ベルリンオリピック / ヘルシンキオリンピック / 日本 / 第二次世界大戦 / アメリカ |
研究実績の概要 |
当該年度は、国内外における史料収集に重点を置いて研究活動を行った。日本のスポーツ界が戦後、国際スポーツ界に復帰していく経緯について明らかにするために、まず、日本体育協会の史料を中心に分析し、検討を行った。第二次世界大戦前後のオリンピック競技大会(1936年ベルリン及び1952年ヘルシンキ)における実施競技と日本の参加状況を確認し、日本の競技団体における国際交流の状況について調査を行った結果、以下のことが明らかになった。1. 戦前にオリンピック競技大会に参加した実績を持ちながら戦後の大会に不参加であった競技はいずれも球技であり、戦後の経済難から選手数の多い団体競技の参加が見送られたことが明らかになった。2. 戦前は不参加でありながら、戦後早期にオリンピック競技大会への参加を果たした競技はいずれも個人競技であり、かつ第1回アジア競技大会(1951年、ニューデリー)に出場した競技や戦後早くからアメリカとの交流を行っていた競技であった。3. オリンピック競技大会への参加は、国内競技連盟(NF)が当該国際競技連盟(IF)に加盟していることが前提になるが、戦後、いち早くIFへの再加盟を果たしたレスリングや水泳では、アメリカ本国との組織的なスポーツ交流を行っていた。4. ドイツとの関係では、ハンドボールにおいて戦前の交流が盛んに行われていた。 国外における史料収集では、IOCオリンピック研究センターにおいて第二次世界大戦前後のドイツと日本のオリンピック委員会を中心とした史料収集を行い、整理・分析を進めている。また、研究の背景となる当該時代の日独を巡る国際関係と文化交流の面では、次年度に論文「文化外交におけるスポーツの力(仮)」を投稿予定である。さらに、スポーツの国際交流に関する質的研究の要点把握のため、ユース世代のサッカーの国際交流に関するインタビュー調査を実施し、参考資料としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、史料の収集に多くの時間を費やし、一定の成果を上げることができた。特に、日本国内の競技団体の戦前から戦後にかけての全体的な傾向の把握ができたことは重要な意味がある。一方、当初期待していたスポーツ界における日独関係は、戦前のハンドボール以外にそれほど強固なものは見出せなかった。この点でさらに、IOCで入手した日独のオリンピック委員会関係の史料の整理・分析が急がれる。また、研究成果の発表には至っていないものの、収集した文献・史料の検討が多角的に進められている。ドイツの研究者とも定期的に研究の進捗状況及び内容に関する情報交換と協議を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
作業効率を上げるためには、少人数のグループで集中的に時間をとって作業を進めることが有効であるとの合意ができている。そのため、連休や夏季休暇など校務のない時期に数日、研究会を行うこと、また研究協議の回数を増やし、互いの進捗状況を確認しながら、モチベーションを高めていく工夫をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張予定が調査先の理由により実現できなかったこと、及び購入予定であった書籍(洋書)の刊行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度調査できなかった箇所については、次年度の調査の目処が立っている。また、未刊行であった書籍の購入も次年度には入手できる見込みであるため、次年度には問題なく適正に使用できる予定である。
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