研究課題/領域番号 |
15K01568
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 教授 (70207207)
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研究分担者 |
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
高峰 修 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10409493)
松宮 智生 国士舘大学, アジア・日本研究センター, 客員研究員 (10741316)
千葉 洋平 日本福祉大学, スポーツ科学センター, 助教 (10646772)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 競技団体 / 国際交流 / アジア競技大会 / スポーツ / スポーツ議員連盟 / 大学スポーツ / ユース世代 |
研究実績の概要 |
当該年度は、前年度の研究成果を受けて、日本にとって第二次世界大戦後初の国際大会参加となった第1回アジア競技大会に焦点を当て、その参加経緯を検討した。同大会をめぐる国際関係は、IOC委員ソンディを擁するインドがイニシアティブを握り、日本はセイロン(現在のスリランカ)との良好な関係がうかがえた。それに対し、フィリピンは大戦の影響から日本の大会参加に反対を表明していた。日本の大会参加に向けた状況改善・推進に大きな役割を果たしたのは、スポーツ議員連盟の存在であった。同連盟所属の国会議員は、日本体育協会と緊密に連携しながら、GHQに働きかけを行い、また、国会において政府の協力支援を引き出し、国庫補助を獲得するなど、スポーツ界と政界との橋渡し役として活躍していた。 大学の運動部単位での国際交流について一大学を事例に調査を行った。その結果、大学運動部による戦後の国際交流は1950年以降に始まっており、日本の競技団体の国際組織への復帰に先んじて実施された事例は見られなかった。 一方、若い世代におけるスポーツを通じた国際交流の意義を探るため、今日のユース世代のサッカーを通じた国際交流に関する調査を実施した。その結果、日本人選手は試合や交流会などを通して外国人選手と関わることで、競技力と人間形成の両面で変容していったことが明らかになった。その際、自分自身、あるいは家族や指導者、チームメイト等他者を交えた振り返りを行うことで、国際交流の経験がより深く定着することが確認された。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定して以降、我が国の文化外交・交流におけるスポーツの位置付けが高まっている。こうした動向を視野に入れながら、本研究では、スポーツがナショナル・アイデンティティを昇華させる力に着目し、世界共通のソフトパワーとしての力をより発揮するための諸条件などについても考察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1回アジア競技大会への参加経緯を検討した結果、国際競技大会への参加をめぐるスポーツと政治のつながりを構造的に明らかにすることができた。このことは、今後の研究に大きな示唆を与えるものである。関連して、ソフトパワーとしてのスポーツに関する研究、大学スポーツの国際交流に関する調査も進行中であり、幾つかの柱で研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ドイツの研究者との研究交流を促進し、両国を比較しながら、戦後のスポーツの国際化の歩みに関する研究を推進していく。また、国内においては、共同研究者とのミーティング回数を増やすなどして、研究の一層の推進を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた調査経費を削減することができたこと、先方の事情により出張計画の変更を余儀なくされたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
調査計画の進捗状況について、研究者間で情報を共有し、適正に使用できるようにする。具体的には、今年度実施できなかった出張の旅費のほか、消耗品の購入、作業の効率化を図るためのアルバイト謝礼などに充当する。
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