研究課題/領域番号 |
15K01576
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 支援 / 自律性 / 組織の成り立ち / 公的支援 / 相互浸透 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、支援される側の内実を明らかにするために、総合型クラブやスポーツNPOといった非営利組織の特性を把握した上で、スポーツ組織への支援をめぐる様相を捉えることにある。具体的には、支援のされる側の被支援者を主体として捉え、支援の考え方から支援がもたらす成果に至るまでの一連のプロセスに着目し、支援と支援システムに要請される条件や支援が招く失敗の類型化とその要因といった観点からスポーツ組織への支援の様相を明らかにする。本年度は、総合型クラブやスポーツNPOといったスポーツ組織が有する組織特性と支援パターンの適合性について、複数のクラブに対するヒアリング調査に基づき、検討を試みた。その結果、総合型地域スポーツクラブの場合は、クラブの成り立ちが関係しており、とりわけ、行政主導や複数のチームや団体による連合体のクラブにおいては、助成金や運営サポートなどの公的支援を受けることがあたかも当然であるかのような認識をしているようであった。つまり、公共性の高いスポーツサービスに取り組むという自負が、「公共機関が果たすべき役割を肩代わりしている」という認識につながっており、運営が比較的円滑に進んでいるクラブは、組織マネジメント上の問題が顕在化しないが、運営上に問題を抱えているクラブは、組織を主体的に運営したり、問題を積極的に解決しようとしたりする意識が低いようであった。共通点は、組織経営に必要な資源確保に窮していることであるが、中小企業における同様のケーススタディと異なる点は、「組織の成り立ち」にあるということが理解できる。「支援パターン」の多様性を理解したいものの、類似する点が多く、「支援」という発想から異なる組織間の「相互浸透」という視点から次年度、組織の様相を捉えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「支援パターン」の多様性を捉えることが難しく、「支援」という言葉を画一的に捉える傾向にあり、「してもらう側」と「してあげる側」という主従の関係が存在している。ただ、「支援される側」が卑屈というよりは、「支援されて当たり前」という状況が多く、「支援」という一面性を捉えるのではなく、組織の多様な様相を捉える必要があるため、定量的調査を実施するよりも、定性的調査によって組織の様相を丁寧に捉える必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間も限られていることもあり、組織のミクロな様相も引き続き捉えたいと考えているが、組織の様相や支援パターンを定式化して論理を導き、定量的調査によって、総合型地域スポーツクラブやスポーツNPOの様相を定量的に捉える必要があると考えている。決して数量的に把握することだけが「支援」をめぐる組織の様相を捉える手段ではないと考えているが、研究計画に掲げるように、定量的かつ定性的な側面から組織の支援を巡る様相を捉えたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
「支援パターン」の類型化に時間を要しており、定量的調査の実施が滞っている。次年度に関しては、定量的調査の実施を予定しているため、前年度の繰越額を調査実施に用いる予定である。
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