公共政策と支援は、密接な関係にある。それは、補助金や助成金のように、政策や施策にかかわる直接的な支援、またNPO法人や総合型地域スポーツクラブの設立・育成のように、政策や施策を推進するために活動の受け皿を整備したり、相談やコンサルティングのような情報を提供したりするような間接的な支援が存在する。本年度は、スポーツNPOと総合型地域スポーツクラブだけでなく、公共政策として文化・芸術の振興を担うために、施設を拠点に市民活動や市民団体の育成に取り組む青森県と宮城県における2つの自治体をケースに取り上げ、行政、外郭団体、市民活動を進める方々にヒアリングを行った。 青森県A市は、行政が直営で施設経営や運営のイニシアティブを取り、文化・芸術の振興、ならびに市民団体の育成などについても先導していた。とりわけ、施設経営と運営に関しては、公共サービスという財の特質を認識しながらも、中心市街地の活性化という命題に対して、ある意味、「公共施設らしくない」事業展開、施設近隣住民や商業施設との連携やネットワーク化を積極的に展開していた。市民団体の育成や市民活動の活性化については、拠点施設での事業展開や補助事業を試み、直接的かつ間接的な支援を施していており、市民団体は、行政と良好な関係を築きながら、事業規模は大きくないものの、行政では行き届かない地域に根ざした活動を展開していた。その一方で、良好な関係が「馴れ合い」のようなものに至っている面があり、市民団体の自律性に影響を及ぼしている様子がうかがえた。 宮城県B市では、市民活動や文化・芸術の振興を図る拠点施設を行政が建設し、その運営を外郭団体が指定管理者となり、多様な事業展開をしていた。B市のケースは、指定管理者である外郭団体がイノベーティブな事業に手掛けることが、施設の機能化や市民活動の活性化に直結するという発想で、単発的かつ継続的な事業を展開していた。
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