平成29年度の研究では、週に1回の低頻度・高強度インターバルトレーニングによってもたらされる、呼吸・循環・代謝、そして運動耐容能の適応効果の順序性、及びそのメカニズムを解明するために、トレーニング毎の安静時左心室形態及び機能測定、そして運動時の呼吸・循環諸量測定、そしてアセチレン再呼吸法による心拍出量測定法の導入を行った。 1名の被験者に対して、インターバルトレーニングを8回実施し、トレーニング毎に呼吸循環諸量を測定評価した。安静時の左心室の形態測定において、左心室末期径はトレーニング1回目では5.03cm、そしてトレーニング8回目では5.02cmと変化がみられなかったのに対して、左室心筋重量についてはトレーニング1回目は204gからトレーニング8回目では246gと増加する傾向が認められた。また、トレーニングを行うことによって、トレーニング中の換気量が減少する傾向が示された。 さらに本年度では、アセチレン再呼吸法による安静時心拍出量の測定を試みた。2名の被験者に対して、安静座位でアセチレン再呼吸法を実施した結果、1名の被験者は心拍出量;6.2l、一回拍出量;80ml、心拍数;78bpm、もう一人の被験者は心拍出量;6.9l、一回拍出量;68ml、心拍数;100bpmであった。また、心エコー装置によって測定した両被験者の一回拍出量は、それぞれ81.1mlと 75.9mlで同程度の値を示した。 平成27年~29年度の結果、週に1回の低頻度・高強度インターバルトレーニングは、呼吸循環器の機能に適応効果をもたらし、運動耐容能を向上させることが明らかになった。そして、それらの適応効果を継時的に測定評価し、順序発現機構を明らかにするために必要な心拍出量の測定及び骨格筋酸素組織動態の評価が可能となった。
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