研究課題/領域番号 |
15K01582
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
濱田 臣二 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(一般科目), 教授 (10228538)
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研究分担者 |
久池井 茂 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(知能ロボットコース), 教授 (50300653)
滝本 隆 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(機械創造システムコース), 准教授 (60581220)
吉塚 一典 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (10220691)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鼓膜温 / 暑熱環境 / 無線測定装置 |
研究実績の概要 |
本研究は高温環境下における運動時の暑熱障害防止およびパフォーマンス向上の観点から、室内外での実際的な運動時の鼓膜温を測定するための無線通信による鼓膜温測定装置の開発および実用化を目的としている。 平成27年度は、鼓膜温測定装置の小型化、軽量化について検討し開発を行った。開発にあたっては、実際の測定時に被験者の運動の妨げにならないように軽量化や装着性を重視した。また、既製品の赤外線測定装置のセンサーについての調査も行い、それらのメカニズムも検討した。今年度は無線通信として、Bluetoothを採用し測定装置の試作を行った。現段階では、腕にメモリ等を装着できるようにしている。耳に挿入する測定装置は、市販の補聴器ほどの小型化には至ってないが、耳に装着できるサイズで試作を行っている。実際に耳に装着して運動させると、軽い違和感が出たり、ずれが生じるため、サイズ・形状・素材の検討は今後も重要となる。被験者の鼓膜温の表示は、タブレット端末に表示して本人はもとより、他人も確認できるようにしている。このように体温変動の確認は、本人はもちろんのこと、実際の高温環境下の運動時においては、第三者であるコーチや指導者も確認できることが極めて重要であるため、遠隔での確認を可能にするよう開発を進める。試作の測定装置で記録したデータは、これまでの先行研究で考察してきた鼓膜温の変動と比較して、その精度についても比較・検討を進めている。 装着性が良く運動時に継続して鼓膜温の測定が可能となれば、暑熱障害防止やパフォーマンス向上に大きく貢献すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、運動中に継続して鼓膜温を測定するための無線鼓膜温測定装置を試作した。具体的には以下の内容に取り組んだ。 1.赤外線温度センサーの検討。市販の非接触型の赤外線温度センサーを購入し、鼓膜温を実際に計測することで、サイズや精度面(センサーの視野角と測定対象(鼓膜)までの距離の最適化)についての検討を行った。 2.センサー情報取得の無線化。無線通信としてBluetoothを採用し、無線通信モジュールを用いた鼓膜温測定装置を試作した。市販の補聴器ほどの小型化はできていないものの、43×30×20mmのサイズに収め、腕に装着できるように(ウェアラブル端末)した。 3.情報取得アプリケーションの製作。無線鼓膜温測定装置のデータをタブレット端末で表示できるようなアプリケーションを製作した。現在は1秒間隔で鼓膜温を測定することが可能である。 上述のとおり、当初の予定通り開発が進んでいるため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のことに取り組み、開発および実用化を進める。 1.補聴器型への改良。耳に装着できる(補聴器型)ように、ボタン電池で駆動できるようにし、測定装置の基板を独自に設計することで、さらなる小型化を図る。 2.センサー部の形状最適化。現状は温度センサーに筒状の緩衝材を取り付けたものを挿入しているが、これを装着する被験者の耳形状にフィットするように形状の最適化を行う。また、すでに導入済みの3Dプリンタや3Dスキャナを活用して製作を行う。 3.同時計測への対応。複数の被験者が同時に運動していることを想定し、各無線鼓膜温測定装置のデータを1箇所で取得できるようにする。この際、無線通信の距離が大きくなることや干渉が引き起こされてしまうことが想定されるので、無線通信の形式の変更も視野に入れて開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は開発に必要な最低限の物品を購入し、次年度以降の進捗状況と同分野の研究の動向を見ながら、新たな物品購入等を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降のデータ分析に必要なパソコンや新たなセンサーなどの購入、および学会等への参加のための旅費で使用予定である。
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