研究課題/領域番号 |
15K01583
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
横澤 俊治 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 研究員 (80400670)
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研究分担者 |
稲葉 優希 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 研究員 (30709431)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スポーツバイオメカニクス / 縦断的体力評価 / 力学的エネルギー / 全身の総パワー / 国内一流アスリート |
研究実績の概要 |
国内一流陸上競技混成選手を対象に、体力とスプリントパフォーマンスとの関係を4年間にわたり縦断的に測定してきた。その結果、高い疾走速度を得るためにはパワー発揮能力よりも発揮したパワーを有効に疾走速度に繋げられるかが重要となる「有効性依存型」、多関節運動において大きなパワーを発揮できる状態にあることが重要となる「パワー発揮能力依存型」、本来有している高いパワーを疾走中にも発揮できるかが重要となる「疾走中パワー依存型」の3タイプに類型化できた。ただし、経年的にみると、「疾走中パワー依存型」だった選手のうち計測最終年度において体力測定におけるパワーが低下した選手が複数名おり、いずれも疾走中のパワーは維持していたが疾走速度は低下した。すなわち、元々「疾走中パワー依存型」だった選手がその特長であるパワー発揮能力を維持できなくなると、疾走中の有効性が低下する可能性が示唆された。 スピードスケートについては、国内一流選手を対象に競技会においてレース全体におけるスピードの変化、およびカーブとストレートの滑走動作を分析し、それらの特徴と体力評価項目との関係を検討した。その結果、有酸素性持久力が高い選手では長距離レースにおいて後半にラップタイムを維持できている傾向があったが、中距離レースでは体力的特性との明確な関係がみられなかった。さらに、脚のパワーや無酸素性持久力が優れている選手であっても、中距離レースのカーブにおいて脚の伸展パワーに由来する大きな求心力を得ることができずに後方に脚が流れてしまい、高い滑走速度に繋がらない場合があることが明らかになった。すなわち、有酸素性持久力と長距離レースにおける後半のラップ維持のように、体力の特性とレースのパフォーマンスが関連しやすい項目もあるが、一方、本人が有するパワー発揮能力が氷上でのパワー発揮に必ずしもつながらない場合もあることが示唆された。
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