研究課題/領域番号 |
15K01587
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 諭 筑波大学, 体育系, 教授 (40241799)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スポーツ社会学 / オリンピック / 東京 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた東京湾岸エリアにおける都市開発にともなって、そこに住む人々がどのような影響を受け、何を考えながら暮らしているのかについて、フィールドワークをもとに分析することにある。 平成27年度は、4年計画の初年度として、「臨海副都心開発」計画と成果に関する一次資料、及び建築家、都市社会学者などによる臨海副都心開発の計画と成果に関する研究成果を集め、整理し、分析を行った。また、2016年と2020年の両大会について、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会による『申請ファイル』『招致活動報告書』『立候補ファイル』などを集め、分析した。 さらに、東京都江東区の歴史、地理、住民統計データなどを収集、整理し、分析を行った上で、豊洲、東陽町などにおいて、現地調査を行い、各地域の都市開発の現状を把握した。 これらの結果の一部は、国際会議"AAS-IN-ASIA Conference 2015"において、発表し、パネルを主催したRobin kietlinski博士(ニューヨーク市立大学)などと議論できた。また、2月には、目黒区青少年プラザにおいてジェンダーや人種差別などダイバーシティの視点から東京オリンピック・パラリンピックを考える講義を3週にわたって行い、一般市民の方々に研究内容を公開し、議論を行った。3月には、シーナカリンウィロート大学(タイ王国)の大学院博士課程学生30名と学部長及び初代学部長(IOC委員)に対して、「オリンピックと都市東京:1964-2020」と題した講演を行い、東京及びアジアにおけるオリンピック開催の意義について、議論を行った。 このほか、スポーツにおける女性の位置とその問題について、山口香氏(筑波大学)、小笠原悦子氏(順天堂大学)、友添秀則氏(早稲田大学)と議論を重ね、『現代スポーツ評論』第33号(創文企画)を出版した(2015年11月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年計画の初年度として、予定通り、「臨海副都心開発」計画と成果に関する一次資料、及び建築家、都市社会学者などによる臨海副都心開発の計画と成果に関する研究成果を集め、整理し、分析を行った。また、2016年と2020年の両大会について、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会による『申請ファイル』『招致活動報告書』『立候補ファイル』などを集め、分析した。これら文献研究に加えて、豊洲、東陽町などにおいて、現地調査を行い、各地域の都市開発の現状を把握できたことは、大きな収穫だった。 これらについて、国際会議や市民講座において情報発信を行ったが、平成27年度より開始された"Sport for Tomorrow(SFT)"事業のひとつであるつくば国際スポーツアカデミー(TIAS)が関わるスポーツ・オリンピック学学位プログラムにおいて、海外からの留学生や日本人学生約20名に対して、東京オリンピックをめぐる都市開発について、1964年から2020年の歴史と現状を英語による授業実践教材として活用し、講義を行った。
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今後の研究の推進方策 |
4年計画の2年目となる平成28年度については、研究課題について、以下の方策をとる。1.「臨海副都心開発」計画と成果に関する一次資料、及び建築家、都市社会学者などによる臨海副都心開発の計画と成果に関する研究成果を集め、整理し、分析を行う。 2.2020東京OPにおける湾岸エリア会場の設置計画と開発実態に関する資料分析とともに現地調査による現状分析を行う。 3.豊洲、東陽町、新木場において歴史、地理、住民統計データなどを踏まえながら、住民へのインタビュー調査などを行う。 4.2012年ロンドンオリンピック・パラリンピック大会における東ロンドンの再開発とレガシーの現状について、プランと現状について、資料を収集し、分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「臨海副都心開発」計画と成果に関する資料収集のため、東京都内の当該図書館や市役所、国立国会図書館ほか東京都港湾局などへ足を運ぶ計画をしていたが、思いの外、ネット上での資料収集ができたことによって、旅費の支出が抑えられた。 また、都市東京とオリンピックに関した研究報告を国際会議等で行う予定をしていたが、台湾で学会発表を1回行い、ほかのアジア諸国での学会発表を行わなかったことも旅費の支出が抑えられた要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
4年計画の2年目となる平成28年度は、アジア諸国のみならず、ラフバラ大学(イギリス)等への調査旅費の一部に充てるとともに、2020東京オリンピック・パラリンピックの会場にあたる地域での現地調査旅費としても使用することを予定している。
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