東京湾岸エリアとオリンピックに関する研究(2015年度~2018年度)の最終年度として、2020年東京オリンピック・パラリンピック(以後、2020東京OP)に向けた東京湾岸エリアにおける都市開発について、まとめを行った。 東京湾岸エリアは、1980年代から東京都が「東京湾埋立第13号地」として使われなくなった港湾用地の使用を検討する中で、幹線道路、鉄道・新交通システム、湾岸物流施設、国際交流施設、緑地・ウォーターフロント、都市開発施設、そして生産・基盤施設と空港の7種類の視点で捉えられていた。そこにおいて、国際通信基地を作る「東京テレポート構想」や「世界都市博覧会」の計画が進められたが、インフラ整備に主眼を置き、かつ中央官庁の支援が必要であったこともあり、頓挫してきた。その後、2002年に都市再生特別措置法により、タワーマンションなど高層ビル建設が民間主導で行われていった。そこでは、企業利益を第一とした「都市イメージ戦略」による臨海副都心への投資が行われてきた。2016年及び2020東京OPの招致及び開発は、これらを背景にして進められてきた。 また、2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックの会場(一極集中型)として開発されたQueen Elizabeth Olympic Parkを訪れ、ロンドンにおける東西の地理的格差に対応し、大会を契機とした都市開発を行っている実態を考察した。数十年後のあるべき姿を先に描き、そこから逆算して開発してきているロンドンの事例に対し、2020東京OPの都市開発は、短期的な構想に留まり、かつ大会運営に向けた組織構造も異なったものであることが分かった。 以上について、白井宏昌氏(滋賀県立大学教授)とディスカッションした結果が『現代スポーツ評論』第40号(創文企画、2019年5月20日発行予定)に掲載されることが決定している。
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