研究課題/領域番号 |
15K01590
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大庭 昌昭 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40303094)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 泳速度調整 / 主観的感覚 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、水泳運動中のグレーディングに関与する泳動作特性を明らかにすることで、競泳レースにおける努力度利用に関する実践的示唆を与えることによるパフォーマンス向上の可能性を検証することであった。当初は画像動作分析手法を中心的な方法として比較検討することとしてきたが、より泳者の主観的な感覚を把握できる方法の活用(慣性センサによる分析)を目指した。 前年度の成果として新たな方法(慣性センサによる分析)を考案し、今年度実際に試行を繰り返してきたが、研究の目的を果たすために必要な十分な結果を得るには至っていない。一方で、各個人の主観的感覚をより詳細に評価することの重要さがさらに顕在化してきた。一人ひとりの泳者が水中で実感する感覚を丁寧に把握する手法の開発を進めることで、本研究の目的に近づくものと判断し、基礎的な実験を行うこととした。 具体的には、対象となる泳者の「主観的な感覚」をできる限り実感に近い形で把握するために、可能な限り言語で表現してもらい、ICレコーダーやビデオカメラで記録し、発話内容の分析を試みた。この逐語記録の分析には、近年進化している「テキストマイニング」の活用を検討してきた。また、競泳選手をこれまで対象としてきたが、そうした選手は水泳に関わるある程度の知識を有しているため、感じ取った主観的な感覚を類似した感覚として、保持している知識を基にした表現を行う傾向があることが確認されたため、水泳経験の少ない対象者の感覚と対比することを試行した。今後、このデータ(水泳初級者の主観的感覚の把握)をもとに分析手法の開発に進む予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験手法の検討を繰り返し行い、より詳細な分析をするための見直しを繰り返していることが最大の理由である。 しかし、新しい角度からの測定方法や分析方法に目途がたったため、次年度以降順次研究を進めていけると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
計画当初に想定していなかった内容(水泳初級者の主観的感覚情報の把握)について、もうしばらく研究を進める必要がある。できるだけ早期に一定の成果を挙げられるように進めていく。 また、現段階で再考している計画通りに進んだとしても、想定してきた実験を実施するにはかなりの時間を要するものと考えている。したがって、研究期間を1年延長することも考慮にいれ研究を進めていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究初年度に実験計画の修正を進めたため、水中カメラシステムが未購入であること及び本実験を実施していないことによる人件費等が残額として生じていることが主な理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
実験計画を変更し進めてきているので、新しい手法に関わる費用での支出がある程度予定される。したがって、次年度には予定どおり支出されるものと考えている。 一方、次年度予定していた内容(実験など)をできるだけ次年度に含めたいと考えているが、無理に計画を進めるのではなく、研究機関の1年延長も視野にいれ使用することも考えている。
|