研究課題/領域番号 |
15K01593
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 昌廣 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (40128327)
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研究分担者 |
村木 里志 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (70300473)
三木 由美子 鈴峯女子短期大学, 保育学科, 講師 (90726217)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳性麻痺 / 関節可動域 / 発育発達 / 運動能力 |
研究実績の概要 |
発育期にある9歳から17歳の脳性麻痺者の関節可動域を観察すると、年齢や成長の指標である身長、体重など、身体的発育との関連性は明確には認められなかった。一方、関節可動域の制限は運動能力の制限となるが、発育期にある子供たちの関節可動域と運動能力の関係は明らかになっていない。そこで、本研究では、運動能力が発育に伴い順調に発達しているかどうかを明らかにすることを目的とした。 被験者は、GMFCSレベルでは1から3の歩行可能な9歳から22歳までの成長期にある脳性麻痺者24名であった。関節可動域は全身7部位(手、肘、肩、頸、股、膝、および足)25項目であった。運動能力は文部科学省の新体力テストを基に、握力、柔軟性など10項目とした。 年齢と相関が認められたのは、握力および体前屈のみであり、握力は加齢に伴い増加し、体前屈は加齢伴い低下していた。一方、いくつかの関節可動域において、運動能力との有意な相関関係が認められた。しかしながら、握力と股関節の可動域と有意な相関が認められるなど、運動特性から考えて関節可動域の変化から説明できるような一定した関係は得られなかった。むしろ、運動能力はGMFCSレベルとの関連性が強かったことから、加齢による生育や関節可動域よりも、身体全体の活動能力が今回測定した運動能力に影響していることが示唆された。これまでの研究では、加齢と関節可動域との関係が指摘されていることから、成人以降のデータも合わせて、年齢と関節可動域および関節可動域と運動能力の関係の分析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は、成長期にある脳性麻痺者の関節可動域と運動能力の関係を検討することであった。この目的はおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
一般に、脳性麻痺者の関節可動域は加齢との相関があると指摘されている。しかし、昨年度及び一昨年度の本研究データは、発育時の関節可動域に関しては年齢との関係は見出すことができなかった。今後は、発育期も含めた成人期以降のデータを併せて、年齢と関節可動域、及び関節可動域と運動能力の関係を明らかにする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外学会発表が都合でできなかったこと、および論文投稿料が予算より少なかったことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、海外でで開催される二つの学会に参加予定であり、また国際雑誌への投稿も予定しており、これらの経費に充当する予定である。
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