2017年度末から2018年度において、主観的努力度(以下、努力度)と客観的達成度(シャトル速度や握力等。以下、達成度)の対応関係から、健常者選手と身体障がい者選手の共通性と相違点および異なる種別の身体障がい者間の対応性の特徴を検討した。 健常者選手も障がい者選手もスマッシュのようなオープンスキルの要素の高い運動では当該の努力度よりも高い達成度(過剰出力)となる傾向がみられる点で共通していた。一方、サービスや握力のようにクローズドスキルの要素の高い運動では、健常者選手がスマッシュと同様の傾向を示したのに対し、障がい者選手は当該努力度よりも低い達成度を記録するケースも多数出現した。また上肢障がい、下肢障がい、車いすの三選手を比較すると、全体的な対応性は車いす選手が良好であったが、スマッシュについては上肢障がい、下肢障がい、車いすの順に当該努力度と達成度の誤差が小さかった。スマッシュの調整に下肢の踏ん張りが大きく影響していることが推測されたが、更なる検証を要する。本研究全体を通じて、 ・健常者選手(大学生)および障がい者選手(上肢障がい、立位・下肢障がい、車いす使用)とも、バドミントンのサービス、スマッシュおよび握力において努力度の変化に応じて達成度を比較的直線的な対応で増減できる(調整できる)点で共通していた。 ・ただし、健常者選手では当該努力度を上回る達成度を記録する(意図したよりも過剰な出力になる)傾向なのに対し、障がい者選手は当該努力度よりも低い達成度を記録するケースが多く認められるという相違点が確認できた。また、その多くがクローズドスキルの要素を多く含む運動で出現する特徴を確認した。 ・障がい者スポーツに関わる指導者の場合、人間関係などに関する「対他者の知識」習得への関心が高く、専門的な知識としては「スポーツ」についてよりも「障がい」についての知識の習得に関心が高かった。
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